「後悔先に立たず」という、ことわざがあるように、人間は、後から悔やんでも取り返しがつかないとわかっていても、後悔を繰り返しながら人生を歩んでいく生き物です。
多くの人は、自分の死を目前にした時に、自分の人生の中の「後悔」ばかりを思い浮かべると言われています。「悔いのない人生だった」と満足に満ちた死を迎えるために、オススメの本をご紹介します。
医者が教える人が死ぬときに後悔する34のリスト|川嶋朗
今回紹介する本は、『医者が教える人が死ぬときに後悔する34のリスト』です。
著者は、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長で、西洋医学、東洋医学、相補・代替医療などを区別なく行う統合医療を扱う、川嶋朗さんです。
著者の川嶋朗さんは、クリニックに訪れた患者さんとの会話の中で、「人は死を意識した時に後悔することがたくさんある」という事を知り、本書を執筆することにしたと言います。しかし、同時に、病気が悪化し、死を覚悟すると、人は後悔に気がついて、真剣に生き方や考え方を変えようとし始めるそうです。
本書を読むことで、死に直面しなくとも、他の人がどんな後悔を抱えたまま死を迎えるかがわかれば、少しずつ自分の人生についても向き合うきっかけになるはずです。
本書では、来るべき死を他人事ではなく、自分にも必ず訪れる人生の義務のようなものととらえ、まだ元気なうちに死について考えていただくために、私が今まで医療に従事するなかで見聞きしてきたことを、エピソードを交えてご紹介していきます。
(中略)
患者さんたちが吐露する後悔のひとつひとつが、「よりよく生きる」「悔いのない人生を送る」ための警鐘であり心得となると考えるからです。
川嶋朗|医者が教える人が死ぬときに後悔する34のリスト
本書では、34のリストが紹介されていますが、その中からいくつかをご紹介します。
「なぜ生きたいのか」を真剣に考えてこなかった
川嶋朗さんは、多くの人が死にたくない理由や生きたい理由を真剣に考えていないと言います。そのため、普段から自分だけは病気にかからないと感じて、不規則な生活を送ったり、何となくの中で毎日を過ごしてしまうため、ある日突然死を認識しなければいけない状況に直面すると言います。
自分が「死んで困ること」が、自分のやるべきこと、やれること、やりたいこと、つまり「生きたい理由」になると言います。
両親を看取りたい、家族に添い遂げたい、子供と過ごしてあげたい、なども生きる理由になるはずです。
やりたいことができなかった
やりたいことができないまま、死を迎えてしまうという人も、数え切れないほどいます。
両親をつれて海外旅行に行きたかった、孫を見たかった、もっと大きな家に住みたかった、世界中を旅したかった、本当は音楽や芸術などの趣味の時間をもっと欲しかったなど、本来であれば自分のやりたいことはもっとたくさんあるはずです。
しかし、会社の仕事に追われ、仕事が忙しいことをやりたいことが出来ない言い訳にして、自分を正当化してしまう人があまりにも多いです。
58歳という若さで膵臓がんで他界した、アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業式のスピーチで次のような言葉を残しています。
「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは 本当に自分のやりたいことだろうか?」
その答えが『ノー』という 日が何日も続くならば、何かを変える必要がある。
“If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?” And whenever the answer has been “No” for too many days in a row, I know I need to change something.
スティーブ・ジョブズ
病気のせいで夢を諦めてしまった
多くの人が、病気を原因に夢を諦めると言います。しかし、よくよく話を聞いてみると、病気になる前からいろいろなことを言い訳にして、夢に挑戦することを我慢していたという人がほとんどだそうです。
夢に挑戦出来なかったことという思いが病気の原因だということに気づいていれば、本当はまだ望みがあったはずなのです。
川嶋朗|医者が教える人が死ぬときに後悔する34のリスト
多くの病気は、心の影響を受けており、ストリスを感じれば交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れ、体調に影響が出ることは、大いに有り得ることです。夢を我慢するということ自体が、体に悪影響を及ぼしていることに、いち早く気が付かなければなりません。
健康診断で病気にされた
2008年に40歳から74歳までの公的医療保険加入者を対象に、特定健康診査、いわゆる「メタボ健診」が始まりました。しかし、実情は、基準値を少しでも上回れば大量の薬を飲まされ、余計な治療ばかりが行われ、生活習慣を見直すという指導は行われていないと言います。ましてや、生活習慣病を予防して、医療費の削減が目的なはずが、病気かどうか疑わしい人や治療が必要ない人までもを薬漬けにしてしまっており、医療機関や薬品会社の見込み客探しの場として悪用されてしまっています。
実際にメタボ健診が始まってからも、日本人のメタボや、生活習慣病は全く減っておらず、医療費ばかりが増え続けています。
エンディングノートをつけておかなかった
エンディングノートとは、「遺産相続」「延命治療の希望」「介護についての希望」から、「葬儀やお墓についての希望」「死ぬまでにやることリストや日常の備忘録」「人生の思い出」や「家族への思い」などを書き記す、人生の集大成ノートです。
川嶋朗|医者が教える人が死ぬときに後悔する34のリスト
エンディングノートは、辛いことだけをか書くものではありません。
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの映画『最高の人生の見つけ方』では、余命6ヶ月の見ず知らずの2人が『棺桶リスト』と称して「スカイダイビングをする」「ピラミッドを見る」「世界一の美女とキスをする」など、本当に人生の中でやりたいことを明確化し、最高の人生を手に入れていきます。
人生の中で、何がやりたいかがわからなければ、心から良かったと思える人生は手に入れられません。健康なうちから、自分はどんな人生を送りたいのかを明確にして、今すぐに一つずつ行動に移し始めるべきだと感じます。
まとめ
大きな病気が見つかったり、ある日突然事故にあって寝たきりになってしまったりしてから、やりたかったことを考えても後悔しか残りません。
若いうちから、後悔のない人生はどんな人生なのかをしっかりとイメージし、そのために叶えたい夢や、目標を明確にし、ひとつひとつ行動に移していくことをオススメします。
死を意識した瞬間に人の人生は大きく動き始めます。しかし、実際に余命を言い渡されるタイミングでは、あまりにも遅すぎます。
健康なうち、できれば10代、20代のうちから、自分の人生は有限であり、今日もまた死に近づいているということを常に胸に刻んで、輝かしい人生を手に入れる行動を今日から始めるべきではないでしょうか。