2011年8月、ニューヨーク・タイムズ紙は、米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏の研究を発表し、その記事は世界中で話題になりました。
米国で2011年度に入学した小学生の65%は、大学卒業時、今は存在していない職に就くだろう
キャシー・デビッドソン
数年前までアプリ開発やYouTuberといった仕事は世の中に存在しませんでしたし、SEという職業が生まれたのもそう遠い昔ではありません。
20年前は、携帯電話を持つ人はほとんどいませんでした。携帯電話ショップもなければ、携帯電話を製造する人もいなかったのです。
今や世界を代表する企業になった、GoogleやFacebook、YouTubeや、楽天といった企業は20年前には存在すらしていませんでした。
つまり20年後、あなたは今とは全く仕事、全く違う会社で働いている可能性が非常に高いということです。
今、『この会社なら親が喜んでくれる一流企業だ』、『この会社は合コンでモテる』、『この業界は給料が高い』と考えている会社や業界が、20年後も存在しているかは、誰にもわかりません。
実際に、10年ほど前に就職偏差値(学生が入社したい難易度・人気度)の高かったリーマン・ブラザーズは、リーマンショックと共になくなってしまいました。世界トップの会社ですら、一瞬にして姿を消してしまう今の世の中。
どうやら、私たちの生きる今の時代は想像絶するスピードで進んでいるようです。
NPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹氏が考えるこれからの時代を生き抜く3つの力をご紹介します。
1. 学び続ける力
多くの人が、社会に出ると共に学習することをやめてしまいます。
中学校までの義務教育を経て、社会に出る人もいれば、高校、大学、大学院まで進学し社会に出る人もいます。
何歳で社会に出たとしても、多くの人は学校に行くのをやめた瞬間に学ぶことをしなくなります。
しかし、例えば20歳で社会に出たとしたら、約40年間働くことになります。前にも述べたように、たった20年で日本は物凄い変化をしています。
そんな、激動の中を40年間も働くにも関わらず、学ぶことをやめてしまったらどうなるでしょうか。
学校を卒業した時からの、止まった知識で40年間も働き続けることが出来るでしょうか。
2015年は、『AI元年』、『3Dプリンター元年』などと呼ばれています。そんな変化を皆さんはご存知でしょうか?
今までは英語が喋れたら社会で重宝されたかもしれません。しかし、今のテクノロジーでは、翻訳は機械が瞬時に行い、50ヶ国以上の言語に一瞬で翻訳出来る時代が目の前に来ています。翻訳サイトに入力しなければいけなかった物も、人同士の会話を同時に翻訳できる機能を開発している会社もあります。また、アジアの国々では、英語と母国語、そして日本語などの他の言語を話せる人は山のようにいます。英語を話せるということは、特殊な能力ではなくなりつつあります。
これだけではなく、『パーソナライズ』、『遺伝子テクノロジー』などもこれからの時代のキーワードになっています。
少し前までは、『グローバリゼーション』や『ITテクノロジー』が私たちの働き方を変えてきましたが、この言葉すら今では当たり前になり、過去の言葉となりつつあります。
こうした事は、会社で働いているだけでは学ぶ事が出来ません。自分から学んでいく姿勢、情報を得られる場へ自ら参加する、学び続けている人のコミュニティーへ自ら身を置くといった行動を具体的に起こして行かない限り、40年という長い社会人生活で時代において行かれてしまうことでしょう。
2.コラボレーション・リテラシー
今までの時代は、良い大学を出て、良い会社に入り、定年まで必死に働き、老後は年金で優雅な生活を送るということが、日本人の美徳となっていました。
しかし、終身雇用制度は崩壊し、年金制度や医療保険制度も維持することが困難な状況に日本が直面しているのとは皆さんもご存知だと思います。
ひと昔前までは、転職するといった人や、起業するといった人は少数派だったかもしれません。
しかし、今は転職することは珍しいことではありませんし、スタートアップなどで若いうちから独立するといったことも普通に誰もが出来る時代です。また、フリーランスや、ノマドといった働き方をする人も多くいます。
近い将来、優秀な人材はフリーランスだったり、複数の会社に属することが当たり前の時代になると言われています。
フィナシャルタイムズ紙で「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」と賞され、英エコノミスト誌が選ぶ「仕事の未来を予測する識者トップ200人」の一人である、リンダ・グラットン氏の世界的ベストセラーの『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』の中では次のように述べられています。
メガ企業(巨大企業)を核にして、何千万人ものミニ企業家で構成されるエコシステムが形作られ、大勢のミニ企業家がコラボレーションを通じて活動を調整し合うようになる。
アップルのスマートフォン、iPhoneのアプリ開発のプロセスを思い浮かべればわかりやすい。
アプリの多くは、小規模な企業やミニ企業家がアップルを核とするエコシステムの中で開発している。
つまり、これからの時代は、メガ企業をプラットフォームとしたミニ起業家が中心となり、世界を作っていくのです。
起業家やノマドワーカー、フリーランスと聞くと一人で孤独の中で仕事をしているように思えますが、ミニ起業家は従来のそうした孤独な一人仕事といった働き方ではありません。全世界のミニ起業家たちが、コラボレーションしていくのです。
これからの時代は、どのメガ企業をプラットフォームとして活用するかといった点や、コラボレーション能力が非常に重要になります。
働く仲間は会社の中で見つけるという考え方自体が時代遅れになりつつあります。同じ会社内の限られた人材でやりくりするのではなく、全世界の優秀なミニ企業家の中から仲間を探す方が、効率的であることは誰が考えても明らかです。
また、大企業病という言葉があるように、企業単位になると当然フットワークは悪くなり、行動までに時間がかかってしまいます。しかし、インターネットの発達した今の世の中では、ミニ起業家同士は簡単に結びつくことができます。
そして、ミニ起業家は優秀な人たちだけがなるわけではなく、誰もがなる可能性があるということです。むしろ、ミニ起業家になり、自ら理想の働き方を手に入れる必要があります。
2025年には、世界中で何十億人もの人たちがミニ起業家として働き、ほかのミニ起業家とパートナー関係を結んで、相互依存しつつ共存共栄していく仕組み-「エコシステム(生態系)」と呼ばれる-を築くようになる。
特定の大起業ではなく、こうしたミニ起業家たちのエコシステムが市場の方向性を大きく左右するようになる。
ミニ起業家たちはたいてい、自分が夢中になれる対象を仕事にしている。仕事に情熱をいだく人の割合は、企業などに雇われて働く人に比べて、自営業やフリーランスなどのミニ企業家のほうが約2倍も高い。
3.問題を見つけて試行錯誤する力
仕事でやることは、過去も未来も、20年前も20年後も、そして100年前も100年後も「問題発見」すること、そして「問題解決」をすることです。これは時代がどんなに変わっても不変のものです。
紀元前5000年に誰かが、自分たちが作った物を、手で運ぶと効率が悪い、と「問題発見」しました。そして、箱に丸い輪っかを付けるとすんなり進むと言うことに気が付き、「問題解決」して車輪ができたのです。車輪だけではなく、ほとんど全てのビジネスや仕事に共通します。
この問題解決のプロセス。それは「これは課題ではないだろうか」と気付き、まだ答えがないものに仮説を立てて、プロトタイプを作り、やってみて失敗して、また試してみて答えに近づく、という単純なもの。でもこのプロセスがえらい重要なのです。一昔前の「正解」はグーグルに転がっているけど、未来の答えは手作りしなくちゃいけないから。
駒崎弘樹
まとめ
『学び続ける力』『コラボレーションする力』『問題を見つけて試行錯誤する力』を学ぶことができる場が東京アキバ読書会です。
毎週開催しているので、参加し続けることで学び続けることができ、様々な業種で働く人が参加しているのでコラボレーションするきっかけになり、本を読むことで問題発見、問題解決する力を磨いていくことが出来ます。
東京アキバ読書会は、毎週東京の秋葉原駅・岩本町駅周辺の東京最大級の20代、30代の読書会を開催しています。年間数百名の20代の方にご参加いただいている読書会です。今まで、勉強会や朝活や読書会に参加したことがないという人も多く参加されておりますので、ご気軽に参加していただければと思います。