【要約】未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること|河合雅司 [書評]

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日本が47都道府県(1都1道2府43県)であることは、日本人であれば誰もが認識しています。

しかし、この47都道府県がこれからもずっと維持できるかどうかには疑問が残ります。

なぜかというと、日本の人口が減り続けていくからです。

東京は、2030年頃までは日本のさまざまな地域から移り住んでくる人が続くと言われていますが、その一方で物凄いスピードで人口が減っていく地域や、高齢化が進んでいく地域もあります。

人口減少、少子高齢化と一言で言えば簡単ですが、日本を地域ごとにみた時にその影響は地域ごとに異なり、置かれる状況や対策も異なってくるのです。

河合雅司さんの大ヒット『未来の年表』シリーズの第3弾の『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』をご紹介いたします。

日本地図は大きく塗り替えられる。さらに言うならば、現在の日本列島とは全く違う姿に変貌するかもしれない。

塗り替えられた日本列島においては、現在の日本人の「常識」は大きく覆る。例えば、都道府県の枠組みだって、いつまで「47」が続くのか分からない。

河合雅司|未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること

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未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること|河合雅司 要約

未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること|河合雅司

河合雅司さんの『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』は、シリーズ累計90万部を超える大ヒット『未来の年表』シリーズの第3弾です。

2021年7月時点で、『未来の年表』シリーズは、第4弾まで発売されています。

 

第1弾は、『人口減少カレンダー』と題して、これからの未来の日本で起きることを年表形式でわかりやすく解説してくれてました。

第2弾は、バージョンアップし、より身近に、個人に起きることにより焦点を当て『人口減少カタログ』という形で解説されていました。

第3弾の本書は、地域ごとにいつ何が起きるのかを明らかにするため『未来の地図帳』という形で、新たな視点で日本の未来を描いてくれています。

具体的には、その影響が各地域にいつ頃、どのような形で降り注ぎ、日本列島がどのように塗り替えられていくのか、その推移を内側から描き出そうというのである。誰も見たことのない「未来の地図帳」 を作ろうということだ。

河合雅司|未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること

 

本書も、テーマになっているのは、引き続き人口減少と少子高齢化です。

人口減少と少子高齢化は、全国で同じスピードでやってくるわけではなく、地域差があるため今回は地域ごとに未来の日本の姿が描かれています。

本書は2つの画期的アプローチに挑む。ひとつは、 現在を生きる人々が国土をどう動いているのかを追うことだ。第1部で、主な大都市を中心に人々が移動する現状を見ていく。これまで部分的な研究レポートやデータ集はあったが、分かりやすくまとめた一般書は見たことがない。

もうひとつは、「未来の日本人」が日本列島のどこに暮らしているのかを明らかにすることだ。これこそが「未来の地図帳」づくりだが、第2部では2015年を起点として、2045年までの日本列島がどのように塗り替えられていくかを、地域別、年齢別、さらには出産期の女性にフォーカスして分析する。

そして第3部では、令和時代に私たちが成し遂げなければならないことを、地域ごとの事情を勘案しながら提案したい。

河合雅司|未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること

 

『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』の目次

第1部 現在の人口減少地図 ――日本人はこう移動している
序 市区町村による「住民の綱引き」に勝者はいない
1-1 東京圏 東京は共存の道を探るべき「日本の外国」である
1-2 関西圏 三大都市圏の中で減少スピードが最も速いのは、関西圏
1-3 大阪市 「西の都」の人口拡大を下支えしているのは、外国人住民
1-4 名古屋圏 名古屋市最大の懸念材料は、リニア新幹線と広すぎる道路
1-5 北海道 「ところてん式」の札幌市は、200万人を超えるか
1-6 東北 政令指定都市なのに通過都市、仙台パッシングの理由とは
1-7 中国 周辺から人を集めきれず、「磁力の弱い」広島市
1-8 九州 福岡市は北九州市と熊本市の二大都市を吸収か
1-9 東京圏 一極集中が続く東京圏、その内側を覗いてみれば

第2部 未来の日本ランキング ――20年後、日本人はどこに暮らしているか
序 塗り替えられてゆく日本列島
2-1 都道府県の人口差は30倍超へ
2-2 東京圏という「外国」は、老化に苦しむ(練馬・足立・葛飾・杉並・北区の4人に1人が高齢者/多摩地区すべてが人口減少に)
2-3 政令指定都市は、極端に明暗が分かれる(札幌市が「北のシルバータウン」に/大阪市が「逆ドーナツ化」する)
2-4 県庁所在地・地方都市は、不便さの増すエリアが拡大(「限界自治体」が111ヵ所に/「無医地区」が広がってくる)
2-5 出産期の若い女性が減少する地域はここだ(出産期の女性がたった1人になる村)

第3部 それぞれの「王国」の作りかた
序 なぜ地方創生はうまくいかないのか?
令和時代に求められる5つの視点

 

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』の著者

河合雅司 (カワイマサシ)

1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授のほか、政策研究大学院大学客員研究員、産経新聞社客員論説委員、厚労省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。2014年の「ファイザー医学記事賞」大賞をはじめ受賞多数。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』『未来の年表2』(ともに講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)、『未来の呪縛』(中公新書ラクレ)などがある。

※書籍に掲載されている著者の紹介情報です。

 

『未来の年表』シリーズ一覧

本書『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』を皮切りに、2021年7月時点で『未来の年表』シリーズとして4冊、漫画版として1冊が発売されています。

シリーズ累計90万部を超える大ベストセラーとなり、どれもとてもおすすめです

未来の年表シリーズ一覧

 

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現在の人口減少地図帳

人口減少という魔物は日本全国での共通の課題です。

しかし、地域ごとに現状は異なっていて、さまざまな地域で一人でも多くの住民を呼び込もうとさまざまな政策が取られています。

認識しなければならないのは、どこかの地域に人が引っ越してくるということは、別の地域の人口が減っているということであることです。

つまり、日本全体で人口が減っていくので、市区町村による”住民の綱引き”に勝者はいないのです。

 

人口減少社会において、地域差が拡大していく要因は大きく分けて、2つあると言います。

1つは、地域内での出生数が減ること。もう1つは、若者の大都市への流出だと言います。

今、日本列島で起きている人の動きを見ていきたいと思います。

 

東京は「日本の外国」である

東京

日本全体で一番大きなで注目すべきは、東京への一極集中です。

総務省が発表する「住民基本台帳人口移動報告(2018年結果)」によれば、23年連続で2018年は東京圏への転入超過になっているといいます。

全国では、72.1%の自治体が転出超過になっている中、東京への一極集中が目立ちます。

年代別に分析すると、予想通り若い世代が東京圏に集まっていることが明確になる。日本人に限って調べると、 20~24歳が最も多く7万4996人、次いで15~19歳が2万6863人、25~29 歳の2万3561人だ。進学や就職を機に東京圏に住み始め、故郷に戻らない若者は多い。

男女別に見てみると、20~24歳は男性3万3481人、女性は4万1515人と女性のほうが上回っている。 15~24歳の総数で見ても男性が4万7370人、女性が5万4489人だ。多くの若い女性が「東京」を目指して集まってきている状況を裏付ける。

河合雅司|未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること

では、この東京に集まってきている人たちは、どこからやってきているのでしょうか。

内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が、2017年のデータを発表しています。

東京圏への転出超過の絶対数では、1番多いのは大阪府の1万657人です。

次いで兵庫県(7356人)、愛知県(7164人) 、北海道(6750人)、福岡県(5810人)、新潟県(5631人)、静岡県(5368人)、宮城県(5357人) の順に東京へ人が集まってきています。

これだけ人が東京に集まってくる理由は、人手不足になった企業が東京圏に出やすい周辺県の大学や専門学校などの学生を確保すべく働きかけを強めていることも要因としてあげられるといいいます。

地方には満足した仕事ないとわかれば、若い世代は東京へ仕事を求めて上京してくるのです。

 

三大都市圏で減少が早いのは関西圏

大阪

三大都市圏と呼ばれる、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)、関西圏(大阪、京都、兵庫、奈良)、名古屋圏(愛知、岐阜、三重) を中心に日本は発展してきました。

意外に思われるかもしれませんが、この三大都市圏のうち関西圏は人口減少の波がすでにおしかかっているといいます。

住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(総務省、2018年1月1日現在) を見てみよう。外国人も含む総人口は東京圏が前年比0.43%上昇し、15万7772人増の3647万623人となった。名古屋圏は208人増の1144万458人で、ほぼ横ばいであった。

これに対して、関西圏は下落傾向に歯止めがかからない。3万6569人減少して1838万1004人となったのだ。前年比0.2%減である。

河合雅司|未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること

こうした背景には、関西圏の人々が他地域に転出していっていることもありますが、企業が本社を関西から東京に移動させているということもあります。

2017年には大阪府の67社が東京圏へ本社を移動させていたのです。

また、今までは地方で育った人たちが、就職や引っ越しで関西圏へ行くということが多々ありましたが、現在では関西圏ではなく東京圏へ移動する人たちが圧倒的に増えてきているのです。

 

名古屋の懸念はリニア新幹線と広すぎる道路

名古屋

名古屋市は人口が増え続けている数少ない都市の一つです。

その要因は、大企業が密集しており、経済状況に引っ張られる形で全国から人が集まっているのです。

名古屋市は、2004年には220万人を突破し、2016年には230万人を突破しました。

 

2017年に名古屋市へやってきた人たちは、同じ愛知県内から1883人、近隣の岐阜県から1524人、三重県1160人、静岡県611人、長野県184人となっています。

また北陸三県からも転入超過となっており、東海・東北7件と合計すると3782人です。

また名古屋市は、全国的にも外国人人口の増加が多い自治体であり、外国人の転入や子供の出産も名古屋市の人口を下支えしています。

 

人口増加が続いている名古屋市ですが、東京圏に対しては転出超過となっており、今後もさらに東京の一極集中が続く場合は、名古屋市の人口もいつまで維持できるかわかりません。

また、今後の懸念としてはリニア中央新幹線の開通があげられます。

40分で東京圏へ行けることが吉と出るか凶と出るかは今のところは判断できず、もしかすると東京圏へのさらなる転出が出てしまう可能性もあります。

また、名古屋はトヨタ自動車のお膝元であり、車中心の町づくりがされてきました。

高齢社会には不向きな広すぎる道路が多くあり、今後、高齢住民が車ではなく徒歩で生活しなければならなくなってくると、住みにくい町になっていく可能性があります。

 

北海道の札幌一極集中はいつまで続くのか?

札幌

札幌は2019年4月1日時点での人口が、196万5161人と「200万都市」の大台が目の前です。

2015年時点、北海道の中では36.1%という道内人口の3分の1以上が札幌に住んでいます。

札幌に集まっている人の多くが道内で引っ越しをしていますが、中でも大きいのが旭川と函館から札幌に移り住むという流れです。

このままのペースで行くと札幌は近い将来に200万人と突破するように見えますが、北海道全体で見ると人口は年間3万人ほど減っているのです。

 

人々の移動を見てみると、全年齢で札幌へ転入する人たちが、転出を上回っており、道内から移り住んでいることがわかります。

また高齢者の札幌への転入も多く、札幌へ移り住んだ若者たちが両親たちを、医療機関の多い札幌へ呼び寄せていることがわかります。

若い世代が東京へ転出していることも特徴です。

これらのデータを見る限り、札幌市は道内の市町村から若者を中心に人口を引き寄せ、もともとの札幌市の住民が進学や就職を機会に東京圏などに流出する「ところてん式」になっていることがわかる。

河合雅司|未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること

 

政令指定都市なのに通過される仙台の行方

仙台

東北唯一の「100万人都市」である仙台市は、山形県よりも人口の大きな都市です。

仙台市は、じわじわと人口増加を続けてきましたが、しかし2017年頃からその流れが変わってきました。

2017年の出生数は8729人、死亡数は8825人と、死亡数が上回り自然減基調に変わったのです。

それでも、転入者がまだ多いため、トータルでは人口が増えています。

 

トータルでは転入が多く人口は増加していますが、東京への人口流出は続いています。

東京圏への転入超過は、全国一位であり、東京の人口増加に一番寄与している場所が仙台市なのです。

 

人が集まらない広島

広島

広島は出生数で見ると全国でも上位にいるため、出生数と死亡数の差の自然減はまだそれほど多くありません。

しかし、2017年から広島市は転出超過が始まり、自然減以上に転出超過による社会減が目立つようになってきました。

広島市に集まってきている人たちは、広島県内の他の地域からの転入が多く、中国4県からの転入はそこまで多くないのです。

 

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まとめ

河合雅司さんの『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』の第1章を中心に要約をしてきました。

これから日本は歯止めの効かない、少子高齢化、人口減少を受け入れながら、明るい日本を作っていかなければならないと、ヒシヒシと感じます。

データのソースになっているのは、基本的に各自治体や総務省が発表しているデータです。

そのため、各自治体や政府はこうした残酷な未来が日本各地に訪れることを気がついており、我々国民に気がついて欲しいという気持ちで発表をしていることでしょう。

しかし、行政や政府のデータにアクセスする機会が日常的にある人は少ないと思いますし、データの意味が理解できなければ元も子もありません。

河合雅司さんは、『未来の年表』シリーズでは一貫して、こうした難しいデータを誰にでもわかりやすい形で本にまとめてくれており、非常にありがたいシリーズです。

 

東京、沖縄はこれからも人口はしばらく増え続けますが、それ以外の都市のほとんどは人口減少となり、どんどん小さな街になっていきます。

皆さんが生まれ育った街が、数年後には消滅しているということさえも、起こるかもしれません。

それぞれの地域ごとに、置かれた現状が1冊にまとまったとてもおすすめの一冊なので、ぜひお手に取っていただきたい著書です。

地方出身の方も、三大都市圏などで生まれ育った方も、意外に知らない日本の現状と向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

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『未来の年表』シリーズ一覧

今回ご紹介した『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』は、『未来の年表』シリーズの第3弾です。

2017年に発売された『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』を皮切りに、2021年9月時点で『未来の年表』シリーズとして4冊と漫画版の1冊の合計5冊が発売されています。

シリーズ累計90万部を超える大ベストセラーとなり、どれもとてもおすすめです。

シリーズの他の本と合わせてお読みいただくことで、より理解が深まると思います。

未来の年表シリーズ一覧
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