インターネットが発達した今日では、知りたい情報は検索すれば、すぐに手に入る時代になりましたが、いくら便利になったとは言え、本当に有益な情報は人伝いにリアルな会話の中から得ることが多いように感じます。
例えば、ご飯を食べる場所を探すのであれば、『銀座 ランチ オススメ』などと検索すれば、無数に飲食店がヒットしますが、検索の上位を占めるのは、広告費やマーケティングに多額のお金をかけ、SEO対策で検索の上位表示だけを目的にしたサイトばかりであり、検索上位の店に入ったのにぼったくり居酒屋だったという事件が頻繁に起きています。
いわゆる名店と呼ばれるお店は、ほとんど検索では出てきませんし、京都に行けば一見さんお断りの名店がたくさん残っており、本当に良いお店に行きたいと思ったら、信頼できる知り合いからの情報が1番確実です。
多くの人がTwitterや、facebook、InstagramなどのSNSを使い、コミュニケーションはLINEでのやり取りが多くなり、インターネット上でたくさんの情報を得ているような錯覚に陥りますが、facebookもInstagramもLINEも、友達から「facebookやってるー?」と聞かれ、「何それ?どうやるの?」と言ったリアルの会話から、使い始めたという人も多いのではないでしょうか。
『ソーシャルメディア白書2012』によれば、20代男性の43.5%、20代女性の46.0%が友達をきっかけにTwitterを始めたと回答しており、facebookも20代男性の36.9%、20代女性の49.4%が、友達がやっているのに興味を持って始めたそうで、インターネットで情報を見て始めた人たちよりも大幅に高い割合です。
↑インターネットが発達しても、良い情報は口コミでリアルの会話からやってくる(画像:tanuha2001 / Shutterstock)
本も同様で、インターネットで書評サイトなどを見れば、大まかなあらすじや、面白い本なのかどうかを調べることが出来ますが、本当に自分にあった良書というのは、人からリアルな会話の中で見つかることが多いように感じます。
マイクロソフトの日本法人の社長として、ビル・ゲイツ氏と共に働き、現在はHONZの代表を務める成毛眞さんは、ビル・ゲイツのような優秀な人達に共通していることは、「良い本」を「大量」に読んでいることだと言っていますし、ドイツの哲学者であるアルトゥール・ショーペンハウアー氏は『読書について』の中で、「読書の最大の要点は「悪書」を読まないこと。「いつの時代も大衆に大受けする本には」手を出さないのが肝要。」であると述べ、良い本を読み、一過性のベストセラーになるような本は、読むに値しないと言います。
↑ビル・ゲイツもウォーレン・バフェットも「良い本」を「大量に」読んでいる (画像: Spencer Platt via Getty Images)
読書会で、あなたにあった良書と出会う
東京アキバ読書会は、参加者の方にオススメの本や好きな本を一冊ずつお持ち寄りいただき、紹介するタイプの読書会です。
読書会に本を持って行くという時点で、自分がつまらないと思った本は持参しないため、必然的に読書会にお持ちいただいたという時点で、数多くの出版された本の中でも、厳選された良書である可能性が高くなります。
読書会に参加している人の中には、年間100冊以上の本を読むという人もいますし、子供の頃から読書が大好きでたくさんの本を読んできたという方も、たくさんいらっしゃいます。
日本では、年間約8万冊の本が出版されているそうですが、その中から自分にあった良書を自力で探し出すのは至難の技であり、自分で闇雲に本を買い、「悪書」を読むことに時間をかけるのは無駄ですし、ショーペンハウアー氏がいうように大衆受けしている本が必ずしも良書でないことを考えれば、読書会に参加し、自分よりも普段から本を読んでいるという人にオススメの本を聞く方が、効果的であると言えます。
ボストン・コンサルティング・グループで活躍され、ドリームインキュベータを設立した、世界を代表するコンサルタントのお一人である堀紘一さんは、読書好きの仲間が集まり、その場で紹介される本は面白くて役に立つ可能性が極めて高いと言いますし、若い世代から良い本を紹介してもらったこともたくさんあると言い、読書会や読書感想会に参加することは非常に良いことだと言います。
「2週間後に軽く一杯やりながら、読書感想会を開こうよ」などと誘ってくれるから、俄然その本が読みたくなってくる。そういうメンターがすすめてくれる本には、まず外れがなかった。
(中略)
同じ読書好きの仲間たちが自然に集まってくるだろう。彼らをメンターにすれば良いのだ。
仲間同士で良書をすすめ合えば、面白くて役に立つ本に出会える確率がうんと高まるに違いない。
堀紘一|自分を変える読書術
↑読書会であれば、今の自分にピッタリの良書に出会うことが出来る
読書会で、他の人から本を紹介してもらうメリットは、今の自分にピッタリの良書を紹介してくれるということです。インターネットで見ることができる書評などは、自分の今までの経験や知識で検索をしているため、自分の過去の延長線にある本しか興味を持たない可能性があります。
人間は、自分の興味のないものは、勝手に見聞きしないようにするという脳の性質があるため、本当に自分にあった本の書評を読んでいても、脳が勝手に自分には関係ないと判断してしまうことが多々あります。
インターネットの情報は、自分だけに書かれた情報ではなく、万人受けすうるように書かれた情報ですし、一方的に自分が知りたい情報にアクセスしているため、相手が今の自分の状況に合わせて情報を流してくれているわけではありません。
読書会であれば、たくさんの会話の会話の中から、その人にあった良書を紹介し合うことが可能ですし、たくさんの参加者が今までに読んだ本の中から良書を紹介してくれるため、今の自分にピッタリの良書に出会うことが出来るのです。