誰もが、貧乏人よりはお金持ちの方を望むと思いますが、明確にどのようなことをすれば、お金持ちになれるのかということは、お金持ちになった人しかわかりません。
しかし、世の中がどんなに不景気であろうと、その中でお金持ちになる人は存在しており、世の中がどんな状況であろうとお金持ちになれるかどうかは、自分にかかっているようです。
しかし、お金持ちになる人たちに共通点があるのならば、誰もが知りたいと感じるはずです。
約150人のお金持ちからヒアリングしたまとめたという本をご紹介いたします。
お金持ちの教科書|加谷珪一
ご紹介する本は、その名も『お金持ちの教科書』です。
著者の加谷珪一さんが、約150人ものお金持ちから聞いた話をまとめた本であり、私たちが想像しているお金持ちイメージと実際のお金持ちの実態を赤裸々に明かしてくれており、非常に読みごたえがあるオススメの本です。
お金持ちになりたいと思っている人や、逆にお金持ちは怪しい、卑しいことをしていると思っている人にも是非読んでいただきたい本だと感じます。
冒頭に、加谷珪一さんは、「お金持ちになりやすいタイプ」は存在せず、お金持ちになる方法も様々で、絶対にお金を儲けられるテクニックもこの世には存在しないことを明言しています。
しかし、幸いなことに、お金持ちたちは特有の思考パターンや行動パターンを持っており、お金持ちになるための原理原則があることも同時に明かしています。
つまり、私たちがお金持ちが持ち合わせている、思考パターンや行動パターンを学ぶことが出来れば、誰もがお金持ちになれる可能性を持っており、学歴や年齢や性別は関係ないのです。
お金持ちでも、資産家と高給取りは違う
加谷珪一さんは、世の中のほとんどの人が、そもそも「お金持ちのことをよく理解していない。」と言います。
最大の間違いといってもよいのが、「毎年の収入が多いこと」と「資産をたくさん持っていること」、それに「会社や地域での社会的地位が高いこと」を混同していることだ。
お金持ちのことを考えるときには、資産と年収、社会、地位の区別をしっかり頭に入れておいたほうがよい。
日本人の多くの人が、良い会社に勤めている人がお金持ちだと考えているといいますが、そんなことは全くなく、一部上場企業の役員でも年収が1000万円に満たないという人も山ほどいますし、無名の会社や自営業の人でも年収を何億円も稼いでいる人は山ほど存在しており、不動産や株式などの資産からの所得のみで何不自由ない生活を送っている人も数えきれないほどいることをまず認識することが、お金持ちを知ることの第一歩になります。
資産からの収入を得ている人は、数億円の資産を有して、その資産からの数百万円の収入で生活しているという人もおり、収入が少なくても多額の資産と自由な生活をしているお金持ちはたくさんいると言います。
お金持ちかどうかを測るバロメータはいろいろある。お金持ちと言うと高収入のイメージがあるが、年収だけでお金持ちかどうかを決めることはできない。年収はそれほど多くなくても、巨額の資産を持っている人もいる。
日本には150万人から180万人程のお金持ち(金融資産1億円以上)がいるといわれており、これはアメリカに次いで多い数であると言います。日本には、一般の人には見えないだけで、思っているよりも多くのお金持ちが存在しているのです。
お金持ちは純金融資産を3億円以上、年収3000万円以上
金融機関や富裕層向けビジネス関係者の間では、富裕層とそうでない人の分かれ目の一つの基準として、純金融資産を1億円以上保有しているかどうかというのがポイントになると言います。しかし実際には1億円ほどの資産を持っている人は、絶対にその1億円を減らしたくないという貧乏人の思考のままの人がほとんどで、満足に運用することができないため、本当の富裕層は資産が約3億円以上ある人だと言います。3億円の資産があると、何もしなくてもだいたい年間1000万円ずつ資産が増えていくくらいの資産運用は十分に可能なレベルになります。
年収ベースでお金持ちを考える場合は、境目となるのは3000万円だそうで、年収が3000万円を超えると、お金の心配をほとんどしなくなると言われ、生活水準も大きく変化すると言われています。
まとめると、お金持ちとそうでない人を分けるおおよその分岐点は、資産ベースでは3億円、年収ベースでは3000万円ということになる
年収1000万円が一番苦しい
たくさんのお金持ちを見ていく中で、年収1000万円は決してお金持ちとは言えないと言いますし、年収1500万円くらいまでは、年収500万円の人と基本的な生活スタイルは変わらないことが多いと言います。
年収が1500万円くらいまでは、根本的な部分では中流階級の生活をしていて、収入が絶たれてしまうと生活が成り立たなくなるという意味では、年収500万円も年収1500万円も同じ構図ですが、年収3000万円を超えると、生活のレベルが本当に変わってくるそうで、お金持ちを目指すとしたら年収3000万円が一つの目安になりそうです。
年収1000万円のプチ(ニセ?)富裕層の悲惨な日常生活がリポートされていた。それによると年収1000万円の人は、400万~600万円の人に比べて富裕層への憧れが強く、過剰な消費に走っているというのだ。年収1000万円世帯のエンゲル係数が、400万円世帯のエンゲル係数よりも高いというとんでもないデータも明らかにされている。
お金持ちは靴にお金をかけるの嘘?
よくお金持ちは、靴を時計にお金をかけており、男性なら靴と時計は良いものを使用した方が良いということを一度は聞いたことがあると思います。
そこで、加谷珪一さんもお金持ちに会う際には、靴と時計のことを尋ねたと言いますが、その結果は、半分当たっていて半分ははずれているというのが現状のようです。靴にお金をかけている人は半分程度で、時計はほとんどの人がお金をかけていると言います。
お金持ちのうちの約半分は、「靴は減るものなのでお金をかけたくない」という考えを持っており、そうした人たちは靴にお金をかけないと言います。また、実際のところ、お金持ちあってもそうでなくても、多くの人が相手の時計をチェックするものの、靴はパッと見ただけではブランドや値段がわかりにくい事もあり、チェックする人はほとんどいないそうです。お金持ちは、実際はチェックされないものにお金をかける必要はないと考えている人も大きいようです。
一方で、時計は、「一生モノなのでお金をかける価値がある」、 「いい時計をしていると自分に自信がでてくる」、「時計は人を表す」などの理由で、お金をかけているというお金持ちがほとんどだったと言います。
お金持ちは、継続的な収入を作る
海外のお金持ちと日本のお金持ちの大きな違いの一つが、資産の内訳であると言います。海外のお金持ちは、金融資産が中心であるのに対して、日本人は不動産が中心になります。日本の相続税制度では、不動産は相続するたびにどんどん減少していくため非常に資産を残すのが困難だと言われており、これからお金持ちを目指すのであれば、不動産はとても難しい手段であることがわかります。
海外のお金持ちたちは、例えば8000万円の資産を持つとして、全て金融資産であれば、3%の利回りで運用すれば、240万円もの年間収入となり、5%で回れば400万円になります。つまり、8000万円の金融資産があれば、本業からの収入に加えて240万円のプラスで、5年で1200万円になります。そして、その1200万円を更に投資をして、増やし続けるのです。一方で、自宅の土地しか資産のない日本の見かけ上のお金持ちは資産が増えることはなく、資産が減少していくだけなのです。
お金持ちは、自分のせいにする
すべてのお金持ちの人に共通する考え方があると言います。
結果のすべてを自分のせいにできる精神力の強さである。逆にいうと、このメンタティさえ身につけることができれば、かなりお金持ちに近づくことができるのだ。
多くの人は、自分が他人のせいにしていることを自覚すらしておらず、他人のせいであるとストレートには言わないものの、実際にはそれを言い訳にしているケースは非常に多いといいます。
自分が努力できないを知らず知らずのうちに、子供や家族や会社や今まで育った環境などのせいにしている人がほとんどで、それを他の人のせいにしていることを自覚できていないのです。そうした周りのせいにせず、全てを自分のせいにして、強靭な精神力で努力ができる人がお金持ちになることができ、重要なものは生まれ持った才能ではないようです。
すべての責任が自分にあると考え始めると、今後自分の身に起こってほしくないことを100個も200個も列挙するはめになる。なかなか気が滅入る話だが、極めて重要なことだ。この結果、お金持ちは冷徹な危機管理を行うことになり、不測の事態でも大きくお金を失うことがない。また日々発生する小さなトラブルで少額のお金を失うことも少なくなる。この積み重ねは10年、20年という長期間になると、途方もないレベルで効いてくるのだ。
お金持ちは、他の人と違う行動をする
よく考えれば分かることかもしれませんが、普通の人と同じ行動や考え方をすれば、普通の結果になり、多くの人が挑戦しないことや反対の行動を取ることで、普通では考えられないような大きな結果を手にすることができるということを、お金持ちはみんな知っていると言います。
お金持ちは独特の判断基準を持っている。ふつうの人は、何かを判断しなければならないときには、たいがいまわりの人たちがどう考えているのかを基準にする。
お金持ちになった人の多くは、人と違うことをやってお金持ちになっているので、何かと人と違う行動を取る。
お金持ちになる人は、普通の人とは思考回路が異なっており、普通の人と同じように発想してお金持ちになれるのだったら、全員がお金持ちになっているはずなので、人と違う発想にこそ儲けの源泉があるというのが真理なのです。
お金持ちは、友達を選ぶ
友達の選別を間違うと、お金持ちになれないどころか、貧乏スパイラルにも陥りかねないと書写の加谷珪一さんは言います。
お金持ちになれる人は、なんとなく友達と付き合う、ということはしない。自分をより高めることを目的として友達を持つ。自分を高めることができる友達となると、基本的には自分よりも立場が上の人、あるいは、同レベルであっても自分にはない能力やスキルを持っている人ということになる
自分よりも能力が高く、実績を上げている人は、自分にはない考え方や価値観を持っている可能性が高い。これをうまく自分のものにすることができれば、自身の成長につながるのである。同じような思考回路のままでは、成長は望めない。
最も良くないのが同じくらいのレベルの人たち同士で慰め合うパターンであると言います。特に会社の飲み会などで多く見られますが、互いの愚痴を言い合い、「自分たちはがんばっているよね!」と共感し合いたいということもあると思いますが、「共感」はストレスの解消にはなっても、「共感」から新しい考えが生まれてきたり、チャレンジ精神が湧き出てくるようなことは、絶対にありえないのです。
自分よりもレベルの高い友達を持ち、そうした人たちから刺激を受け続けることがお金持ちへの近道のようです。
お金持ちになりたければ、20代が重要
多くのお金持ちの証言によれば、お金持ちの思考を手に入れるためには早ければ早いほど良いが、年齢制限は30代前半までだと言います。頭が柔軟な20代のうちにお金持ちになるための思考力を磨くことが出来れば、お金持ちになれる可能性は格段にアップするようです。
「お金持ち脳」の年齢制限は一般に30代前半と言われている。それ以降になると頭が固くなり、新しい発想を受け付けなくなるのだ。これは多くのお金持ちが証言している。
問題は20代の過ごし方である。半数以上の人は、何らかの形で会社などの組織に入って働くことになる。社会人になりたての頃は、学生時代と違って何かと理不尽に思えることが多く、仕事も面白くないことがほとんどだ。だがこの時期が、お金持ち脳を作る上で非常に大事である。この理不尽さやつまらなさの感覚をどこまで持続し、それを打開するための行動に結び付けられるかで、その後の人生が決まる。
ほとんどの人は数年のうちに、社会人になりたての頃の反抗的な意識を徐々に忘れ、従順なサラリーマン(社畜)に変貌していく。20代の後半になると、自分の殻を破る勇気はほとんどなくなり、飲んだときに愚痴るくらいになってくる。だが20代までは、理想の自分と現実にギャップがあることを認識しているから、まだ大丈夫だ。
30代になってしまうと、「強烈な自己肯定」が始まり、最初は生活のためと言い聞かせていたサラリーマン生活が心地良くなってしまい、自らの人生を強烈に肯定するようになると言います。30代後半で、完璧な社畜が完成し、「最近の若いヤツは!」などと説教をするようになってしまい、30代後半以降にお金持ち脳に転換するのは、ほぼ不可能だと言います。
20代でお金持ちになりたいと思ったら、身の回りにいる一般的な年配者のアドバイスは、なるべく聞かないほうがよく、実際にお金持ちの人のアドバイスだけを聞くことも重要だと言います。お金持ちになれなかった人のアドバイスを聞く時間ほど無駄なことはなく、そうした人のアドバイスを聞いてもお金持ちになれるヒントは何も得られないでしょう。
まとめ
お金持ちも決して、お金があれば良いと思っている人はほとんどいないようで、お金持ちであろうとお金で幸せは変えないことには気が付いていると言います。金持ちは、お金のことを次のように考えているそうです。
「お金で何でも買えると思うか?」という質問は、必ずするようにしている。この問いに対してもっとも多い回答は、「お金で幸せを買えるとは思っていないが、不幸を減らすことはできる」というものだ。
私たちの生活と切っても切り離せないのがお金ですが、そのお金でこれからの人生の中で起こり得る不幸を少しでも減らすことができるのならば、努力をしてお金を得る方法考えていくことは非常に重要なことだと思います。万が一のことが起きてからお金のことを考えるのではなく、万が一のことが起こる前からお金を準備する人が賢い人だと思います。
重要なのは20代のうちにどれだけ考え方をお金持ちに近づけて、刺激を得られるような友達と時間を過ごすかにかかっているように感じます。
お金というものについて考えてみたいという人に、是非おすすめの本です。