【要約】安いニッポン 「価格」が示す停滞|中藤 玲 [書評]

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日本では、ダイソーなどの100円ショップにいけば、その名の通り、ほとんどの商品が100円で手に入ります。

しかし、100円というのは、安いのでしょうか、高いのでしょうか。

ダイソーは、海外26ヵ国・地域に2248店舗を展開しています。

韓国では1365店舗、タイには120店舗、アラブ首長国連邦で44店舗を展開しています。

ダイソー_タイ

(画像: Thiti Sukapan / Shutterstock

海外でも、日本と同じように100円で商品を販売しているように感じます。

しかし、実際には台湾は約180円、アメリカは約160円、ニュージーランドは約270円で販売されているのです。

 

日本では、ディズニーリゾートの1デーパスポートの値段は、8,200円~8,700円になっています。

2021年3月20日入園分から、混雑時の入園料が値上げされました。

多くの人が、値上げされて、高くなってしまったと感じると思います。

しかし、世界のディズニーリゾートと比べると、まだまだ世界で最も安い金額設定になっていることをご存知でしょうか。

 

日本は、この数十年ほとんどものの値段が上がらない安い国になってしまいました。

物が安く買えると思えば、得をするように感じますが、物が安ければ企業の利益は上がらず、働いている人たちの給料も上がりません。

物が安いことは決して、良いことだけではないのです。

今、日本が抱える大きな問題点である、物の「安さ」をわかりすく教えてくれる一冊をご紹介いたします。

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安いニッポン 「価格」が示す停滞|中藤 玲

安いニッポン 「価格」が示す停滞|中藤 玲

中藤玲さんの『安いニッポン 「価格」が示す停滞』は、テレビやSNSで大人気を博した日本経済新聞での「安いニッポン」の特集記事を元に書籍化した一冊です。

かつて「東京は土地もなんでも世界一高い」と言われましたが、それは昔の話になってしまいました。

観光客で賑わう日本は、日本が素晴らしいから外国人が来ているわけではなく、日本がお買い得だから旅行に来ていたにすぎません。

日本では、300円で牛丼を食べることができて、そんなにお金を使わなくてそれなりの生活ができてしまいます。

 

物が安いことは一見いいことのように見えますが、企業から見れば利益が上がらないことを意味します。

利益が上がらなければ、当然給料も増やすことはできません。

賃金と物価がパラレルに上がっていく国は、健全に成長と発展をしていくことは世界の歴史が証明しています。

世界でも類を見ない安い国になった日本と世界の現状、そしてこれから私たちが何をしていけばいいのかを、わかりやすく教えてくれます。

 

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世界で1番安い日本のディズニーリゾート!?

東京ディズニーランド 30周年

(画像: Bloomberg via Getty Images

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、2021年3月20日入園分から東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの入園チケット代を変動制に変更し、一部の日程で値上げを実施しました。

新たな価格では、8,200円~8,700円の範囲で変動するようになっています。

土日、祝日や長期休みの時期などの混み合うことが予想される日は、8,700円に設定されます。

 

さて、この最高値で8,700円という値段は、高いのでしょうか。

もちろん、前の値段を知っている人にとっては、値上げによって高く感じると思います。

しかし、海外のディズニーリゾートと比べると、日本のディズニーリゾートの驚くべき実態がわかります。

 

世界のディズニーの1デーパスポートの値段比較 (2021年6月時点)

パーク名1デーパスポート金額
(ピーク時)
日本円換算
東京
ディズニーランド
¥8,700¥8,700
ディズニーランド
・リゾート
$154¥16,786
ウォルト・ディズニー
・ワールド・リゾート
$132¥14,388
ディズニーランド
・パリ
69.00€¥9,177
香港ディズニーランド
・リゾート
HK$639¥8,946
上海ディズニー
リゾート
¥599.00 CNY¥10,183
※日本円換算は、2021年5月時点の為替から端数を四捨五入し、$1=109円、1€=133円、HK$1=14円、¥1CNY=17円で計算。
※1デーパスポート金額は、2021年6月の大人1人当たりの1デーパスポートの値段の中で、最も金額が高い日付の値段を記載。全てオプションなどのついてないパスポートのみの金額。

下記は、各国のディズニーリゾートの公式サイトのチケット販売ページです。

東京ディズニーリゾート
ディズニーランド・リゾート
ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート ディズニーランド・パリ
香港ディズニーランド・リゾート
上海ディズニーリゾート

日本のディズニーリゾートは、世界のディズニーリゾートの中でも高い評判を誇っています。

しかし、値段で見れば世界で最も安くなっている一方で、来場者は値段を高いと感じているのです。

本書の中では、次のように書かれています。

第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストは「日本人の所得や生活水準からすると、世界で最も安いディズニーランド料金ですら割高にうつる」と指摘する。

日本は、世界的に見て貧乏な国になってしまっているのです。

 

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「100均」は日本だけ!?

ダイソー_大阪

(画像: Tooykrub / Shutterstock

日本ではダイソーなどの100円ショップに行けば、ほとんどのものが100円で買えます。

一部、200円や300円、それ以上の金額のものもありますが、基本的には100円で物が買えると誰もが思っていると思います。

 

ダイソーは、海外26ヵ国・地域に2248店舗を展開しています。

韓国では1365店舗、タイには120店舗、アラブ首長国連邦で44店舗が営業していますが、100円でものが買えるのは日本だけなのです。

下の画像は、タイのダイソーのホームページの画像ですが、60.00 บาท(60バーツ)の文字が並びます。

ダイソー_タイ2

1バーツは、2021年5月時点では約3.5円です。

ほとんどの商品が約210円で販売されていることがわかります。

日本よりもだいぶ物価の安いイメージのタイですが、日本よりも2倍ほど高い金額で売られているのが実態なのです。

 

次の画像は、アメリカのダイソーの公式オンラインストアのホームページです。

ダイソー_アメリカ

(画像:DAISO USA ONLINE STORE

こちらでも、$1.50の文字が並びます。

2021年5月時点で、$1=109円のため、約160円ほどで全品が売れている計算になります。

 

最後は、ニュージーランドのダイソーのホームページです。

こちらでは、トップページに大きく1つで$3.50、3つで$10.00の文字が記載されています。

ダイソー_ニュージーランド

2021年5月時点での、1ニュージーランドドルは約80円です。

計算すると、1つで約280円、3つで約800円で売られていることがわかります。

 

世界のダイソーの値段比較 (2021年5月時点)

国名1つあたりの値段日本円換算
日本¥100¥100
台湾NT$49¥196
アメリカ$1.50¥160
ニュージーランドNZ$3.50¥280
タイ60THB¥210
フィリピン₱88¥202
マカオ150MOP¥205
イスラエル10NIS¥338
※日本円換算は、2021年5月時点の為替から端数を四捨五入し、$1=109円、NT$1(ニュー台湾ドル)=4円、NZ$1=80円、1THB=3.5円、₱1(フィリピン・ペソ)=2.3円、1MOP(マカオ・パタカ)=13.7円、1NIS(シュケル)=33.8円で計算。

 

海外のダイソーが高いのは人件費!

日本では当たり前のように100円で買えるものが、海外では日本以上の値段がするのでしょうか。

関税や物流コストなど、いくつかの要因はあります。

しかし、1番の要因は人件費、賃料、物価、そして所得が向上しているからだと言います。

大きな理由として「いま進出している国や地域の全てで人件費、賃料、物価、そして所得が向上している。 20年前ならいくら高品質でも『新興国で200円前後』なんて売れなかったが、今は現地の購買力が上がったため成り立っている」

世界各国で、従業員の人たちの賃金は上昇を続けています。

賃金が上がれば、当然企業は利益を出すために値上げをしていく必要があります。

値上げをすると物が売れなくなると考えるかもしれませんが、賃金が上がっているので割高感はそこまでないのです。

賃金が上がり、物の値段も上がっていくことが理想の経済状態なのです。

 

一方で、日本のダイソーが商品価格を100円に統一したのは、1977年だと言います。

40年以上も、物の値段が変わっていないことの方が異常事態なのです。

 

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この安さの原因は何か?

日本では、300円で牛丼が食べられて、1,000円で髪を切ることができます。

なぜ、これほどまでに安い国になってしまったのでしょうか。

本書の中では、次のように言われています。

第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストは「一言で言えば、日本は長いデフレによって、企業が価格転嫁するメカニズムが破壊されたからだ」と指摘する。

製品の値上げができないと企業がもうからず、企業がもうからないと賃金が上がらず、賃金が上がらないと消費が増えず結果的に物価が上がらない──という悪循環が続いているというわけだ。そうして日本の「購買力」が弱まっていった。

商品の値段を上げることができないため、人手不足なのに給料を上げられない。

という負のスパイラルがずっと続いているのです。

新興国は、日本を悪い例の見本として見ており、反面教師として見ていると言います。

 

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サンフランシスコでは、年収1,400万円で低所得!

日本は、物の値段が安いだけではなく、人の値段も安くなってしまっています。

本書の中では、サンフランシスコでは年収1,400万円でも低所得だという衝撃の事実が書かれています。

米住宅都市開発省の2020年の最新版では、年収13万9400ドルが低所得者に分類されており、1年で約1万ドル上がったことになる。21年1月の為替(約103円)でも約1400万円を大きく超える計算だ。

2018年時点では11万7400ドルだったため、毎年1万ドルずつ上昇している。ちなみに20年版では、8万7000ドル(約900万円)は「非常に低い所得」、5万2200ドル(約540万円)は「極めて低い所得」と位置づけている。

 

一方で、東京都内で1番平均所得が高い区は、港区です。

六本木、南青山など高級住宅街があり、なんと人口の13.1%が社長だと言います。

では、港区の平均年収はいくらなのでしょうか。

そんな港区の平均所得は年約1217万円。つまり日本の富裕層エリアと言える港区でも、平均所得はサンフランシスコの「低所得」に分類されてしまうという事実となった。

1,217万円と聞くと、日本ではかなり所得が高いように感じますが、海外から見たら貧乏人と言われてもしょうがない水準になってしまっています。

 

値段が安くなってしまっているのは、新卒の社員も同様です。

こうして、他の国の現状を見ると、日本の現状がわかります。

コンサルティング会社ウイリス・タワーズワトソンが2019年、世界の大卒入社1年目の年額基本給を調べた。アメリカが629万円、ドイツは531万円、フランスは369万円、韓国は286万円。日本は経団連の調査ベースで262万円となり、 114カ国中4番目に低かった。物価が高いことで有名なスイス(902万円)の3分の1だ。

 

こうした日本人の給料が上がらない状況について知るには、下記の木暮太一さんの本がおすすめです。

 

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まとめ

日本で生きていると、とても平和で、お金がなくても大抵のことはできることに幸せを感じると思います。

しかし、世界各国と比較した時に、異常事態としか言えない状況が続いています。

こうした状況を国や一企業が打破していくことは難しいのは、明らかです。

時間をかけて、解決していくべき問題ではありますが、私たち個人で自分の人生を守る覚悟が必要です。

非常におすすめの一冊ですので、日本で生活される全ての方にお手に取っていただきたい一冊です。

 

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