企業に忠誠を誓う時代は終わった
外資系企業と聞くと多くの人が、成果主義、弱肉強食、忙しい、大変、勤続年数が短いなどのイメージを持つと思います。しかし、かつてからずっとそういったイメージがあるわけではありません。
かつて、IBMという会社は、約50年間もの間「完全雇用」という形態をとり、どんなに業績が悪化しても社員を解雇しないことを約束し続けていました。しかし、ようやくIBMや大量の雇用を生み出したフォードを始めとした自動車産業など多くの企業が、その考えが時代遅れなことに気が付いたようです。
その結果が、今の私たちのアメリカ企業に対するイメージなのです。最初からアメリカ企業に終身雇用がなかったわけではありません。元はかつての日本のように終身雇用が約束され、多くの人が会社に勤めていれば安心という時代があったのです。
つい最近まで、アメリカでも日本でも個人と組織は、「忠誠=安心」という言葉で、結びついていたようです。
よく「会社は家族のようなものだ!」と例えられますが、今の典型的な大企業の内側は次のようになってしまっているように感じます。
多額の住宅ローンを抱えて、数年後はおろか来月すらわからない先の見えない夫婦が、ある日、改めて家の中を見てみると、20歳にもなることもがリビングでポテトチップを食べながら、ぐうたらテレビを見ていることに気がついた。
そんな息子に向かって「冗談じゃない!さっさとこの家から出ていけ!」と両親が言うと、子供も「ああ、上等だ!前からこんな家は出ていきたいと思っていたよ!」(フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか P.53)
こうして、個人は所属する会社に忠誠を誓って、会社は個人に対し安心と安定を保障するという、旧時代の常識はいとも簡単に崩れ去りました。労働者が一人の人間として自立する、フリーエージェント、フリーランス、ノマドが当たり前の時代が、幕をあけました。
会社がなくなる
日本のトップマーケッターとして数々のベストセラーを世に送り出している神田 昌典 さんは、
このままいくと「会社」のコンセプトがほぼ寿命を終えるのは、2024年頃。
実際、1970年には約50年あった会社の寿命は2014年には23.5年になっているという東京商工リサーチの調査結果もあります。自分の会社は、何十年も続く大企業だから大丈夫と思う人もいるかもしれません。しかし、倒産企業の30%以上は、30年以上続く老舗企業です。
こんなにも企業の寿命が短くなってしまっている要因は、IT革命により世の中の変化の速さが劇的に速くなったからです。むしろ、歴史のある企業の方がこの世の中の変化の速さについていけずに倒産してしまう可能性が高いです。何故ならそういった企業の意思決定を下しているのは、団塊の世代の人たちだからです。団塊の世代の人たちは、高度経済成長期の成功体験があります。日本が右肩上がりの時代に何をやっても会社が大きくなる時代を知っています。しかし、今の時代にそういった思考は適していません。むしろそういった成功体験でこれからの時代を生き抜こうと試みることは、思考停止状態と呼ばざるを得ません。
いまや会社の寿命は「確実に10年を切った」「もはや3年」という見解もある。
ハブスポット社のCEOのBrian Halligan氏によると、1983年にアメリカのフォーチュン1000に選ばれた企業のうち、約800社が10年後の1993年にもフォーチュン1000に選ばれています。しかし、2003年にフォーチュン1000に選ばれた企業のうち、10年後の2013年にもえらばれた企業はたったの250社でした。ITの発展した世の中で、その波に乗れなかった企業は、この10年間でいとも簡単に姿を消しました。
企業の寿命が短くなるに伴って、職種の寿命も短くなっています。 マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏が自社のことを
マイクロソフトは破綻まで18ヶ月
と言い、世界中に激震を与えたのは、記憶に新しいです。それだけ、IT業界の変化の速さは、想像絶するものがあります。10年前、「アプリ開発」という職業を誰も知らなかったように、10年後の2025年はアプリ開発という職業があったことなど、誰も覚えていないかもしれません。
10年前の2005年、世の中にGoogle マップ、Google アースが世の中に現れました。今では、誰もが当たり前のように使っていますが、10年前は誰も知りませんでした。10年後には、どんなものが現れているのでしょうか?
Googleの共同創立者のラリー・ペイジ氏は次のように言っています。
人工知能の急激な発達によって、今現在日常的に行われている仕事のほどんどをロボットが行うようになり、近い将来、10人中9人は今とは違う仕事をしているだろう
ラリー・ペイジ
このように変化の速い時代に、組織にしがみつこうとする人たちを社内に置いていたら、会社ごとなくなってしまうのは誰にでもわかります。
しかし、今の日本の教育システムは戦後から全く変わっていません。企業に忠誠を誓う「組織人間」を作り出す教育システムになっています。いまだに、学校でいい成績をだし、名門大学に進み、一流企業に入社することが美徳とされていますが、学校教育そのものが時代を遅れになってしまっているので、いくら名門大学に進んでも社会では活躍できません。仮に活躍できたとしても企業に属している限り、企業がなくなってしまっては元も子もありません。
賢い人は自己投資をして、会社を抜け出し始めている
企業に依存せず、フリーランス、フリーエージェント、ノマドとして活躍している人たちは、会社からいろいろな研修を受けろとか、TOEICを受けろ、などと言われなくても、朝活への参加や読書、意識の高い人たちに会うことなどの自己投資が最も大事なことをわかっているので、自主的な勉強を続けていくことが出来ます。
未来に明確なビジョンや夢を持ち、活き活きと働く、フリーランス、フリーエージェント、ノマドの人たちは、くだらない仕事をやり遂げようとはしません。仮にやったとしても、それは本当の成果ではないと考えます。そもそも「やる価値がないものというのは、立派にやり遂げる価値がないものです。(フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか)」
多くの人が、週末の夜の開放感のために働きます。 夏休み、年末年始、ゴールデウィークのために働きます。しかし、そうした時期は、どこへ行っても混雑しているし、料金は高いです。フリーランス、フリーエージェント、ノマドの人たちは、そのような時期には遊びません。多くの人が、働いている時期に遊びます。そして、なにより稼いだお金で何かを買ったり旅行にいくことで喜びを得るのではなく、日々の仕事、自由に時間と経済をコントロール出来ることに喜びを感じています。
皆さんは、何のために働いていますか?週末のためでしょうか?それとも、仕事が楽しくて毎日が楽しいから働いているのでしょうか?「週末のために働くのは人生を大損している」と言っているノマドの方もいました。世の中の多くの人が、会社に依存せずに生活しているのに、あなたに出来ないなんてことはありません。
Apple社の社員達は
90 hours a week and loving it.
週に90時間働く、でもそれが大好き
と書かれたTシャツを着て仕事をしたということが話題になりました。彼らにとっては、仕事自体が面白く、自分たちで世界を変えていけることが喜びだったのでしょう。
アラン・バートン・ショーンは、15年以上も前の本の中で二世代後の人々は自分たちの祖父母に、
雇われるというのはどんな感じだったか?
と尋ねるようになるだろうと述べています
数年もすれば、運転免許を取るよりも先にノマドになる。資格を取るくらいなら、フリーランス。そういった時代が当たりまえになるでしょう。
個人が会社に忠誠を誓い、企業は従業員に一生の安定と安心を提供するという暗黙の了解は、あっさりと崩れ去ってしまいました。多くの人が、いまだ終身雇用という幻想を持ち続けていることも事実ですが。しかし、それと同時に、あなたが、自分の人生は自分で切り開いていく。会社に頼らず、フリーランス、フリーエージェント、ノマドとして生きていくと、決断し行動を起こすことさえできれば、簡単に実現出来る時代がやってきました。
何故、そう言い切れるかというと、柔軟性やフットワークの軽さ、クリエイティビティ、自由度、など全ての点において、企業よりも個人のが有利だからです。今の時代、個人で生きている人たちは、山のようにいます。つまり、会社内の限られた人材の中で仕事を完成させる必要はなく、個人と個人が国境を超えて結びつくのが当たり前の時代なのです。人材という面でも、企業より個人の方が、圧倒的に有利なのです。
会社に縛られて生きる。縛られないで生きる。それはあなたが簡単に選べる時代であることに気が付いた人から、新しい毎日が訪れるでしょう。
東京アキバ読書会は、そんなあなたへ最高の学びの場になると思います。