2016年に発売され、世界的なベストセラーになった『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略 』。
テーマになっている「人生100年時代」は、2017ユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされ、人生100年時代構想会議が政府で行われるなど、日本人が考えていくべき新たな人生のテーマになりました。
しかし、本が分厚く、普段から本を読み慣れていない人にとっては、読破するのが難しく、途中で断念した人や買ったまま積読になっている人も多いのではないでしょうか。
発売から4年が経った2020年9月に、今まで読むことが出来なかった人が「ライフシフト」にリベンジできる超訳版が発売されました。
超訳ライフ・シフト―100年時代の人生戦略|リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット 著
本書は、2016年10月21日に発売されたリンダ・グラットンさんとアンドリュー・スコットさんの共著である『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略 』を要約・編集された一冊です。
オリジナル版のメッセージをそのままに、読みやすく自己啓発書スタイルで纏められています。
漫画版の『まんがでわかる LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略』も発売していますが、漫画版だと物足りないという方もいると思います。
超訳版は、ちょうど漫画版とオリジナル版の中間に位置しており、漫画版を読んだ方にもおすすめです。
本書は、次のような方にオススメです。
オリジナル版の復習をした方
漫画版は読んだが、オリジナル版を読み切る自信がない方
初めて「ライフシフト」シリーズを読みたい方
短時間で「ライフシフト」のエッセンスを学びたい方
100年時代を生き抜くことに不安を感じる方
超訳ライフ・シフト―100年時代の人生戦略の目次
第1章 人生100年時代は本当に来る?
第2章 3ステージの人生は苦しくなる
第3章 無形資産が人生を左右する
第4章 人生はマルチステージ化する
第5章 100年人生の新しいシナリオ
第6章 お金の心配を減らすための考え方
第7章 生涯現役でいるために必要なこと
第8章 学校と企業はどう変わるのか
終 章 あなたが未来の「ロールモデル」に
人生100年時代の到来
一世紀以上前に生まれた子どもが、105歳まで生きる確率は、1%未満だったと言われていますが、今先進国で生まれる子どもの50%以上は、105歳まで生きると言われています。
過去200年の間で平均寿命は10年ごとに2年以上のペースで伸びてきました。
現代を生きる20歳の人たちの半分以上は100歳以上、40歳の人は95歳以上、60歳の人でも90歳以上生きる確率が半分以上あると言われています。
日本では100歳になると長寿を祝って内閣総理大臣から「銀杯」が贈られますが、これが2016年度から純銀製から銀メッキ製に変更になったと言います。
これは、100歳を迎える人たちが急増してきたための変更だと言います。
次の図は、2007年に生まれた子どもの半数が到達する年齢についてグラフにしたものです。
先進国の人々は軒並み100歳以上まで生きる可能性が非常に高くなっていますが、中でも日本は107歳より長く生きると予想されています。
既に、100歳以上まで生きる人たちは、珍しくなくなっているのです。
より長期間働くようになる
日本において、今までは20歳前後で社会に出て、60歳もしくは65歳で引退するということがある種のロールモデルとして存在していました。
しかし、これが100歳まで生きるとなると話が変わってきます。
今まで通りに60歳もしくは65歳で働くことを辞めてしまうと、多くの場合100歳までの生活資金が持たないからです。
本書の中で、次の問いかけをされています。
100歳まで生きるとして、勤労時代に毎年所得の約10%を貯蓄し、引退後は最終所得の50%相当の資金で毎年暮らしたいと考える場合、あなたは何歳で引退できるか?
リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット|超訳ライフ・シフト―100年時代の人生戦略
わかりやすくするために、次の条件で計算をしてみてください。
具体的に上記の問いかけについて、イメージしやすく数字を入れたものになります。
スタートの年齢は実際にはご自身の年齢を入れて計算していただきたいのですが、今回は20歳としています。
年収:500万円
毎年の貯金:50万円
老後の生活費:250万円
寿命:100歳
さて、この条件の時に、あなたは何歳で引退することができるでしょうか?
実際に計算をしてみてください。
この問題を解いていくと、何と引退できる年齢は、なんと
87歳になります。
もちろん、これ以外に年金や退職金といった要素は加わってきますが、全て自分で用意するとした場合には、87歳まで働き続ける必要があるのです。
ご自身の年齢と年収を入れてみても、多くの場合80代まで働くことが必要になるという計算結果が出てくると思います。
3ステージの人生からマルチステージの人生へ
人生が100歳まで続いていくと、今までの20歳前後までの教育のステージ、60歳前後までの仕事のステージ、それ以降の引退のステージという3ステージの人生では足りなくなっていきます。
本書の中では、新たなステージが生まれてくると断言されています。
また、人生が長期化することと同時並行で世の中もどんどん変化してきます。
テクノロジーの発展に伴って、今までは人間が行っていた仕事をAIやロボットがやることが珍しくなくなってきました。
大きなリストラが起きている業界も多数あります。
多くの仕事が必要なくなる一方で新たな仕事も生まれていき、それが新たな人生のライフステージとして加わることで、マルチステージの人生を送ることが普通になっていくと言います。
新たに生まれてくるライフステージが、エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオワーカーの3つだと言います。
今まで、年齢とステージはほぼイコールで、何歳かを聞けば教育、仕事、引退のどのステージにいるかは想像ができました。
しかし、マルチステージ化した人生では、年齢とステージはリンクすることがなくなっていき、自分オリジナルの人生を歩んでいくことになります。
人生の中で、何度もステージが変わることになり、新たな環境に飛び込んでいく勇気やチャレンジ精神を持つことが求められていくのです。
有形資産より、無形資産が重要になる
こうしたマルチステージの人生を送っていく歳に重要なものが、無形資産だと言います。
今までの3ステージの人生では、どちらかというとお金や金融資産、不動産といったお金に換金できる有形資産が重要視されていました。
しかし、100年という長い人生で、有形資産を食い潰しながら生きていくことは難しくなり、無形資産の重要性が高まっています。
無形資産は、あるだけで価値がありますが、有形資産を生み出すことも助けてくれるのです。
しかし、有形資産から無形資産を作ることはできません。当たり前ですが、お金があるからといって、人からの信頼を得たり、人脈を得たり、健康な生活習慣を得ることはできないのです。
無形資産は、大きく次の3つに分けることができます。
1. 生産性資産:人が仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ要素のこと。スキルと知識が主たる構成要素だが、ほかにもさまざまな要素が含まれる。
2. 活力資産:大まかにいうと、肉体的・精神的な健康と幸福のこと。健康、友人関係、パートナーやその他の家族との良好な関係などがこれに当たる。
3. 変身資産:100 年ライフを生きる人たちは、その過程で大きな変化を経験し、多くの変身を遂げることになる。そのために必要な資産のことで、自分についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワークを持っていること、新しい経験に対して開かれた姿勢を持っていることなどが含まれる。
リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット|超訳ライフ・シフト―100年時代の人生戦略
この3つの無形資産が、人生100年時代に新たに誕生していくステージである、エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオワーカーの3つに対応していくために、重要なものなのです。
無形資産は、1日にして得ることはできませんし、お金で買うことも出来ません。
少しずつ積み上げていった結果として、得られるものなので、今から無形資産を形成する行動を行っていくべきなのです。
まとめ
人生が100年になっていくと聞くと、「そんなに生きたくない」と落胆する人もいるかもしれません。
しかし、高度な医療技術があり、日々安価で美味しいご飯が食べることができ、様々な娯楽などで満たされている日本において、普通の生活を送っていけば、多くの人たちはどんどん長生きになっていきます。
どうせ100年生きるのであれば、幸せで、楽しい100年を送りたいと誰もが思うはずです。
本書では、100年時代を生き抜くヒントが満載の一冊で、幸せな100年時代を送る手助けになること間違いありません。
2016年に発売されたオリジナル版の『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略 』は、400ページ以上あり、文字も細かく断念してしまった人も少なくないと思いますが、本書であればライフシフトの重要なエッセンスを十分に学ぶことができるはずです。
本書も、難しいと感じるからは、漫画版の『まんがでわかる LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略』からチャンレンジしてみるのもおすすめです。
誰もが100歳まで生きるということは、知らなかったでは済まされないことだと思います。
ぜひ、この機会に再度ライフシフトにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
もちろんオリジナル版、漫画版もおすすめです。
オリジナル版、そしてリンダ・グラットンさんの前作『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』については、他の記事でもご紹介していますので、あわせて読みください。
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