【要約】未来の年表 人口減少日本でこれから起きること|河合雅司 [書評]

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年表と聞くと、歴史の教科書に載っていた過去の年表を思い浮かべるのではないでしょうか。

もし、未来に何が起こるかがわかれば、人生をより良くしていくために非常に役立つはずです。

実は、すでにこの日本において、未来の年表はわかっているのです。

 

今回は、河合雅司さんの『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』をご紹介いたします。

これから日本で起きる未来の歴史を、わかりやすく学ぶことができます。

「人口減少カレンダー」とし、2017年から約100年後の2115年まで、年代順に何が起こるのかを示した。ひと口に「少子高齢化」と言っても、いつ、どのように進み、人口はどのように減っていくのか。それがもたらす未来に迫っていく。「来年のことを言うと鬼が笑う」という諺があるが、人口の将来推計、そしてそれに基づく諸現象の予測は、どこぞの”未来予想”とは異なり、極端に外れることはない。

河合雅司|未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

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未来の年表 人口減少日本でこれから起きること|河合雅司

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること|河合雅司

河合雅司さんの『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』は、約100年後までの未来を人口動態を元に予想した、未来を先取りできる画期的な著書です。

未来学者とも呼ばれていたピーター・F・ドラッカーは『創造する経営者』の中で、次のように言っています。

人口の変化は、労働力、市場、社会、経済にとって最も基本となる動きである。すでに起こった人口の変化は逆転しない。しかも、その変化は速くその影響を現す

ピーター・F・ドラッカー|創造する経営者

つまり、人口動態を見ていくことで、未来はある程度予測することができるのです。

 

過去の人口の推移や、これからの予測は、厚生労働省や国土交通省がデータを発表しています。

しかし、そのグラフや数字、データをみても、なかなか未来がイメージしにくいのが正直なところです。

そもそも、こうした国のデータを定期的に見ている人はほとんどいないはずです。

本書は、国が発表しているデータをベースに、誰もがイメージしやすいように『人口減少カレンダー』にして、それぞれの年に何が起こるのかをイメージさせてくれます。

 

第1部では、2017年から2115年までの100年間を『人口減少カレンダー』で、これからの未来の年表が紹介されています。

第2部では、これから人口が急激に減っていく日本への処方箋として、著者が考える10つのことが紹介されています。

 

どうしても新書を読むのが苦手な方は、漫画版がおすすめです。

すでに『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』を読まれた方も、復習で漫画版を読むとより理解が深まるはずです。

 

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』の目次

第1部 人口減少カレンダー
第2部 日本を救う10の処方箋 ――次世代のために、いま取り組むこと

  • 「高齢者」を削減
  • 24時間社会からの脱却
  • 非居住エリアを明確化
  • 中高年の地方移住推進
  • 第3子以降に1000万円給付

など著者の考える10の処方箋を紹介。

おわりに 未来を担う君たちは
結びにかえて

 

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』の著者

河合雅司 (カワイマサシ)
1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授のほか、政策研究大学院大学客員研究員、産経新聞社客員論説委員、厚労省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。2014年の「ファイザー医学記事賞」大賞をはじめ受賞多数。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』『未来の年表2』(いずれも講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。

※書籍に掲載されている著者の紹介情報です。

 

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『未来の年表』シリーズ一覧

本書『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』を皮切りに、2021年7月時点で『未来の年表』シリーズとして、4冊が発売されています。

シリーズ累計90万部を超える大ベストセラーとなり、どれもとてもおすすめです。

未来の年表シリーズ一覧

 

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人口減少カレンダー

人口減少カレンダー(抜粋)
  • 2020年
    女性の2人に1人が50歳以上に
    女性の過半数が50歳以上に突入し、出産可能な女性数が大きく減り始める
  • 2021年
    介護離職が大量発生する
    団塊ジュニア世代が50代に突入し、介護離職が増え始める
  • 2022年
    「ひとり暮らし社会」が本格化する
    団塊世代が75歳に突入し、「ひとり暮らし社会」が本格化し始める
  • 2023年
    企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
    団塊ジュニア世代が、50歳となり、企業の人件費はピークを迎える
  • 2024年
    3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
    団塊世代が全て75歳以上となり、社会保障費が大きく膨らみ始める
  • 2025年
    ついに東京都も人口減少へ
    東京都の人口が1,398万人とピークを迎える
  • 2026年
    認知症患者が700万人規模に
    高齢者の5人に1人が認知症患者(約730万人)となる
  • 2030年
    百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
    団塊世代の高齢化で、東京郊外にもゴーストタウンが広がる
  • 2033年
    全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
    空き家が2,167万戸を数え、3戸に1戸は人が住まなくなる
  • 2035年
    「未婚大国」が誕生する
    男性の3人に1人、女性は5人に1人が生涯未婚という「未婚大国」になる
  • 2039年
    深刻な火葬場不足に陥る
    死亡者数が167万9,000人とピークを迎え、火葬場不足が深刻化する
  • 2040年
    自治体の半数が消滅の危機に
    全国の自治体の半数近くが「消滅」の危機に晒される
  • 2042年
    高齢者人口が約4000万人とピークに
    高齢者数が3,935万2,000人とピークを迎える
  • 2045年
    東京都民の3人に1人が高齢者に
    東京都民の3人に1人が高齢者となる
  • 2050年
    世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
    世界人口が97億3,000万人となり、日本も世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる

 

2020年 女性の2人に1人が50歳以上に

日本では、長年国全体の課題として、少子化が挙げられ続けています。

しかし、一向に回復する兆しはなく、年々新たに生まれる子供の出生数は減少傾向にあります。

その要因は、そもそも少子化が続きすぎて、「未来の母親」となる女性の数が少ないからなのです。

これまでの少子化の影響で「未来の母親」となる女児の数が減ってしまっているためである。過去の少子化に伴う出生数の減少によって、すでに女児の数は少なくなっており、将来、子供を産める女性の数が大きく減ってしまうのである

河合雅司|未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

出産時期を仮に25〜39歳として、女性の人数を見てみると、

2015年は1,087万人

2040年は814万人

2065年は612万人

と減少していくことが予想されています。

出生率が上がっても、女性の数がそもそも少ないので、少子化は止まらないのです。

実際に、合計特殊出生率は、2005年は1.26で、2015年は1.45とやや改善しています。

しかし、年間出生数で比べると、2005年の106万2,530人から2015年の100万5,677人と、50,000人以上減少したのです。

 

厚生労働省の施設等機関である国立社会保障・人口問題研究所発表しているデータを見ると、2020年に50歳以上の女性の人口は、3,248万8,000人と予測されています。

一方で、0〜49歳の女性の人口は、3,193万7,000万人となります。

日本の女性の2人に1人が50歳以上になる日が目前です。

 

この予測は、2021年時点で2020年10月に総務省が発表したデータをみると、見事に的中したことがわかります。

本書の続編にあたる、シリーズ第4弾『未来のドリル コロナが見せた日本の弱点』の中でも、予想が的中したことに触れられています。

参照 2020年、女性の過半数が□歳以上に|【要約】未来のドリル コロナが見せた日本の弱点|河合雅司 [書評]

 

2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ

2020年頃から日本は、急速に高齢化が進むことが予想されています。

2024年に、戦後のベビーブーマーである団塊の世代が全員75歳以上になるからです。

2024年の日本の人口は、2015年よりも390万人ほど減る。その一方で75歳以上は490万人ほど増え、約2121万人を数える。65~74歳を含めると、高齢者全体では約3677万人に達する。国民の3人に1人が65歳以上、6人に1人が75歳以上となる計算だ。毎年の死亡者数は150万人を超え、出生数の2倍になる──それこそ人類史上において経験したことのない「超・高齢者大国」の出現である。

河合雅司|未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

問題は、それだけにとどまらず、「老老介護」という地獄が待ち受けています。

「老老介護」とは、介護される側も介護する側も高齢者ということです。

介護される側が、仮に90歳であれば、介護する側の子供も60〜70歳ほどになっている可能性が高いです。

なおかつ、介護する子供の方も、要支援や要介護認定を受けている可能性があるのです。

 

近年、日本では、晩婚・晩産が進んでいます。

2015年時点で、第一子出生時の母親の平均年齢は30.7歳です。

第二子以降の誕生も考えると、「50代で子育て中」という人は増加していいます。

すると、50代で子育てと親の介護が同時に襲いかかるという悪夢のような状況も、これから増えていくことが想定されます。

育児と介護の両方を主に担う者は、男性が 32.3%に対し、女性は 48.5%だ(2016年の内閣府の調査による)。より多くの負担が女性にかかっている。仕事をしていた人のうち、業務量や労働時間を減らさざるを得なかった女性は38.7%で、その半数近くが離職に追い込まれている。

河合雅司|未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

 

2026年 認知症患者が700万人規模に

2024年に襲いかかる「老老介護」の次に、2025年頃から大きな社会問題になるのが、認知症患者の急増です。

厚生労働省の試算によれば、2012年時点で認知症高齢者は、軽度車を含めて約462万人にも上ります。

これは、65歳以上の7人に1人が認知症であるという衝撃的な数字です。

 

内閣府が発表した「高齢社会白書」(2016年)では、団塊の世代が75歳以上になる2025年には、65歳以上の5人に1人の730万人が認知症患者になる推計を出しています。

そして、2060年には、3人に1人の1,154万人が認知症患者になるとしています。

内閣府「高齢者白書」|認知症高齢者数と比率

もちろん、認知症にかかるのは高齢者のみに限らず、近年では「若年性認知症」も増加しています。

2009年の厚生労働省の調査では、65歳未満の「若年性認知症」患者は、約3万7,800万人です。

中には、40代以下で「若年性認知症」になってしまう人もおり、「国民病」の一つになっています。

 

2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる

2033年頃には、東京23区でも空き家が目立ち始めると言います。

総務省が発表する「住宅・土地統計調査」(2013年)の時点で、すでに全国の7〜8軒に1軒は空き家になっていることがわかります。

野村総合研究所が2016年に発表した「2030年の既存住宅流通量は34万戸に増加 ~空き家は2033年に2,000万戸超へと倍増~」によれば、2033年の総住宅数は7,126万戸になりますが、そのうち空き家数は2,167万戸弱です。

なんと、空き家率は30.4%にまで上昇し、なんと約3戸に1戸は空き家になる見込みです。

野村総合研究所|総住宅数・空き家数および空き家率

 

2039年 深刻な火葬場不足に陥る

日本の高齢社会の次にやってくるのが「多死社会」だと言います。

年々死亡者数は増加しており、それは2040年まで続くと推計されています。

日本の将来推計人口|外国人を含む死亡数(死亡中位)推計

2039年、2040年は共に167万9,000人の死亡者数が予想されています。

それに伴い、高齢化が急速に進む東京、神奈川、埼玉、千葉では、斎場や火葬場の不足がやってきます。

現在すでに1週間〜10日程度待たされることもあり、こうした斎場、火葬場の不足は今後さらに増加していきます。

 

2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに

現在の日本の直近の人口問題の危機は、「2025年問題」と呼ばれる、2025年に団塊世代が75歳以上になることです。

しかし、2042年の日本は、「2025年問題」よりも、さらに深刻な状況に陥ることが予想されています。

2042年には、団塊世代とその子供世代の団塊ジュニア世代が全て高齢者になっているからです。

日本の将来推計人口

 高齢者の絶対数が増えれば、高齢者向けサービスの絶対量も増やさざるを得ない。総人口に占める高齢者の割合は2042年以降も伸びるのだが、高齢者向け施策は人数が一番多くなる同年に合わせて進めなくては間に合わない。その社会コストはかなり大きくなるだろう。それがゆえに、私はこれを「2042年問題」と呼んでいる。

2042年問題の深刻さは、単に高齢者の絶対数がピークに達するだけではない。むしろ、手を打たなければならないのは、社会の支え手である勤労世代が大きく減ることである。2025年と比較しても、1256万人も少なくなる見通しだ。第3次ベビーブームは到来しなかったのに、人口ボリュームが大きい団塊ジュニア世代が高齢者となり引退するのだから、当然といえば当然のことである。

河合雅司|未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

 

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日本を救う10の処方箋

【戦略的に縮む】
1. 「高齢者」を削減
2. 24時間社会からの脱却
3. 非居住エリアを明確化
4. 都道府県を飛び地合併
5. 国際分業の徹底

【豊かさを維持する】
6. 「匠の技」を活用
7. 国費学生制度で人材育成 【脱・東京一極集中】
8. 中高年の地方移住推進
9. セカンド市民制度を創設

【少子化対策】
10. 第3子以降に1000万円給付

 

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まとめ

本書は、これからの日本に訪れる人口減少、少子高齢化を考えるにあたって、「人口減少カレンダー」を用いて、とてもわかりやすく理解することができます。

人口動態は、経済を見通す上で非常に大事な指標ですが、やさしい本がないのが現状です。

本書は1冊に非常にわかりやすく纏まっており、今まで人口動態など全く知らなかったという方にも、おすすめです。

また参照されているデータのほとんどは国が発表している統計データなので、政府や日本という国がこれからどのような未来を描いているかを感じることができます。

ぜひお手に取っていただきたい一冊です。

 

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他の『未来の年表』シリーズは、コチラ

未来の年表シリーズ一覧

 

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