ビジネス書や自己啓発書、小説などを読み終わった後に、ふと思い返すと「どんなことが書いてあったっけ?」と思うことはないでしょうか。
友だちに本の感想を聞かれた時に、「面白かったけど、細かいところはよく覚えていない、、、」と面白かった記憶や楽しかった記憶はあるけど、実際に本の中にどんなことが書いてあったか、すぐに思い出せないということはないでしょうか。
せっかく読書をしても、内容を覚えていなければ、実践することも誰かに教えてあげることも出来ず、無駄な時間を過ごしてしまっただけであり、読書が何の役にも立っていないため、非常にもったいないです。
今回は、読書をしてもどんなことが書いてあったか思い出せないということがある方に、オススメの一冊をご紹介します。これから読書をしてみようと思っている方にも、是非読書の習慣を付ける前に良い読書の仕方を学ぶためにも非常にオススメのビジネス書です。
もう本の内容を忘れない!読んだら忘れない読書術
ご紹介する本は、樺沢紫苑さんの著書である、『読んだら忘れない読書術』です。
樺沢紫苑さんは、精神科医を務められており、他の読書術には余り記載がないような、医学的な見地からも記憶に残りやすい読書の方法を誰にでもわかりやすく書かれています。医学的と言っても、誰にでもわかるように噛み砕いて解説していただけているので、専門知識がない方や、普段読書をしないという人にも非常にわかりやすい内容になっています。
娯楽的に読む本は別として、ビジネス書や自己啓発書など自分の人生を良くしたいと思って本を読む場合は、本を読んで得た知識や発見を実践という形でアウトプットをして、結果に結びついて、はじめて読書が本当にあなたの血となり肉となった「本物の読書」であると言います。
樺沢紫苑さんは、「圧倒的なアウトプット」をするためには、「圧倒的なインプット」が必要だといますが、そのインプットの源が読書であると述べています。そして、「圧倒的なインプット」は、食事のようなもので、ご飯を食べずに圧倒的な運動量は生まれてきませんし、栄養バランスが偏っていても、良い運動はできません。一流のアスリート達が、「食事」に細心の注意を払っているように、脳に『情報・知識』という栄養を与えると、脳は勝手にアウトプットしたくなると言います。
忘れない読書で、人生を変える
本書のタイトルにもなっている、「忘れない読書」、言い換えれば「記憶に残る読書術」のことを、樺沢 紫苑 さんは「自己成長につながる読書術」であり、「人生を変える読書術」だと言います。
「人生を変える読書術」と言うと大袈裟に聞こえるかも知れませんし、読書で人生が変わるとは思えないという方もいるかも知れませんが、樺沢 紫苑 さんは次のように述べています。
あなたの人生で大切なものは何でしょう。「健康」「お金」「時間」「人(つながり)」「自己成長・自己実現」……。 読書はこれら全てを与えてくれます。
樺沢紫苑|読んだら忘れない読書術
読書をすることで、何千人もの成功体験と何千人もの失敗体験を簡単に知ることが出来ますし、今あなたが抱えている悩みや課題と同じようなことを人類歴史上の誰かが経験しているはずですし、誰かが書物として残しているはずです。長い歴史の中で、あなたにだけ襲い掛かる不安は存在しないはずですし、人の悩みというものは得てして、同じような悩みに行きつくものです。
人間の悩み事というのは、だいたい共通しているものです。人間関係の悩み、仕事上の悩み、恋愛の悩み、金銭のトラブル、子供の教育、成長の悩み、病気や健康に関する心配や悩み……。こうした悩みに対する解決法は、ほとんど全て既刊の本に書かれています。
本に書かれている通りの方法を忠実に実践すれば、ほとんどの場合、悩みは解決するか、少なくとも軽減するはずです
樺沢紫苑|読んだら忘れない読書術
本を読むだけで日本人のトップクラスの仲間入りができる
日本人の年間の読書量は12.3冊だそうで、1ヶ月に、たったの1冊が日本人の平均だそうですが、さらに、文化庁の「国語に関する世論調査」(2013年度)では「1か月に大体何冊くらい本を読んでいるか」(雑誌や漫画をのぞく)という質問に対して、本を1冊も「読まない」と答えた人が、全体の47.5%もいるそうです。
1か月に「1、2冊」が34.5%、「3、4冊」が10.9%、「5、6冊」が3.4%、「7冊以上」がたった3.6%だそうで、月に7冊の本を読むだけで日本人のトップ4%以内に入ることができます。
東京都内のサラリーマンの平均通勤時間は片道約60分との調査からすれば、少なく見積もっても4日で8時間あれば1冊の本は読むことができるでしょうし、月に20日働くと考えれば、通勤時間だけでも5冊を読むことは簡単にできるはずです。
また、日本人で1か月あたり10冊の本を読んでいる人は、2%しかいないそうで、本書では月に10冊の本を記憶に残しながら、圧倒的に突き抜けた人材に成長するための読書術が書かれています。
人間の能力は、脳を鍛えることによって、一生伸ばし続けることができることも研究からわかっており、IQの高さと読んだ本の数が正比例するということもわかっているのため、読書をしてIQを高めていくことが可能であり、IQが高くなれば自然と周りの人たちよりも抜きんでることができることは、間違いありません。
読書で年収も上げられる
読書量と収入を比較した数々の調査がありますが、そのほとんどの調査で年収が高い人は読書量が多いという結果になっています。
2009年の日本経済新聞社産業地域研究所の月額書籍購入費の調査では、20〜30代の年収800万円以上の人の月額書籍購入費は、2910円で、2006年次の調査から19%増になっていますが、年収400〜800万円未満では2557円で23%増、400万円未満の人たちは、1914円で24%減、という明確な差が表れています。
1週間に3回のアウトプットで忘れなくなる!
脳機能の観点から考えると、脳が「重要な情報」と判断する基準は「何度も利用される情報」か「心が動いた出来事」の2種類だと言います。
人の脳に新たに入った情報は、海馬という部分に仮保存されますが、その海馬に仮保存されている期間のうちに、2~3回その情報を使用すれば、長期記憶として保存されると言います。
海馬は入力された情報を1〜2週間だけ、仮保存します。そして、その「仮保存」期間中に、二度、三度と引き出された情報には、これは「重要な情報である」という付箋をつけるのです。「重要」という付箋のついた情報は、「記憶の金庫」ともいうべき、側頭葉に移動されます。一度、側頭葉に入ると、「忘れづらい記憶」となって長期保存されるのです。
樺沢紫苑|読んだら忘れない読書術
本で読んだ情報を2回も3回も短期間にアウトプットできないという方もいるかも知れませんが、アウトプットにもいろいろな種類があり、筆者の樺沢 紫苑 さんは次の4つのことを行うことで、短期間に複数回のアウトプットをすることをオススメしています。
- 本を読みながら、メモをとる、マーカーでラインを引く。
- 本の内容を人に話す。本を人に勧める
- 本の感想や気づき、名言をFacebookやTwitterでシェアする。
- Facebookやメルマガに書評、レビューを書く
マーカーでラインを引くことが、アウトプットになるのかと疑問に思う方もいるかもしれませんが、次のように述べています。
「マーカーでラインを引く、そんな簡単なことでアウトプットになるのか」と疑問に思う人も多いでしょうが、脳科学的には、ラインを引くことは間違いなく脳を活性化します。なぜならば、脳の中で「字を読む作業」と、「手にペンを持って線を引く作業」は全く別の領域で行われているからです。
樺沢紫苑|読んだら忘れない読書術
本を読む際は、マーカーなどを引きながら、その場でアウトプットをし、友だちなどに本の感想を話したり、SNSなどを活用することで、アウトプットをすることで、忘れない読書を実践し、読書の効果を何倍にも高めることが出来ます。
本書では、それ以外にも、アドレナリンやドーパミンを駆使した忘れない読書や、スキマ時間の読書が記憶を促進することなどについても、紹介されているので、是非続きは実際に読んで実践に移していただきたいと思います。
まとめ
本書の中で、本を読む際には、手当たり次第に読むのではなく、人が推薦する本から読んだほうが、ハズレを引かずに「良書」と出会う確率は高まると述べられています。
人が誰かに1冊の本を紹介する際には、きっと99冊の推薦されなかった本があるはずですし、もし仮に1500円の本だとして、100冊の中から厳選された1冊を知ることが出来れば、その本には1万5000円の価値があることになります。
読書会に参加すれば、たくさんの人がオススメする一冊に簡単に出会うことができますし、同時にアウトプットもすることができます。もし仮に10人の参加者がそれぞれ100冊の中から厳選の1冊を紹介してくれたら、1万5000円の価値を10冊も知ることができ、たった数百円の読書会の参加費で15万円の価値がある情報を得ることができるのです。また、友達には、なかなか本の紹介をできないという人もいるかも知れませんが、読書会であれば全員が本に興味がある人が集まっているため、アウトプットも非常に簡単に行うことができます。
ユダヤ人の教えに「財産を全て奪われても、知識だけは奪えない」というものがあります。
読書は、「最後の切り札」です。
あなたの人生を変える、最後の、そして「最強の切り札」。
その切り札は、1冊たった1500円で手に入るわけですから、利用しない手はありません。
読書は習慣です。本を読む習慣を身につけてください。
樺沢紫苑|読んだら忘れない読書術