モバイルゲームの『サウザンドメモリーズ』や『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』、『うんちミュージアム』で有名なアソビルなどを手掛けているアカツキの創業者の塩田元規さんの著書をご紹介します。
帯には”魂”を進化させると書いてあり、スピリチュアルな本かと思いきや、そんなことはありません。
感情との向き合い方や、チームの作り方など、これからの時代を働いていくにあたって心得ておきたいことを知ることができます。
これから起業したいという方にはもちろんのこと、部下を持つ方やこれからの活躍していきたいという方にもオススメです。
ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力 (NewsPicks Book)|塩田元規
本書は、次のような方にオススメです。
部下、チームメンバーを持つ方
感情との向き合い方を考えたい方
目標がわからない方
アカツキのサービスが好きな方、知っている方
日本では未だに、「出る杭は打たれる」という雰囲気が続いており、周りと違うことを行うことはいけないことであるという風潮があります。
しかし、塩田元規さんは自分の感情を鍵に心の扉を開き、自分の本質と向き合うことが重要だと言います。
本屋に行けば、ノウハウ本が所狭しと並び、すぐに陳腐化してしまうようなやり方(Doing)を教えてくれますが、本書では時代が変わっても変わらないあり方(Being)を教えてくれます。
自分が本当に心に向き合う時間が少なくなりがちな、現代人に是非お手に取っていただきたい一冊です。
頭で考えて社会に合わせて生きる時代は終わった。外側でなく、自分の内側を大切にする時代だ。外側ではなく、自分の内側を大切にする時代だ。内側にある、ハートに従って、自分の可能性を開いていく。そして、やること(Doing)だけじゃなくて、自分の在り方(Being)も大切にしていく。
塩田元規|ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力
ハートドリブンとは?
本書のタイトルにもある「ハートドリブン」。
本文の至る所に「ハートドリブン」というワードが出ており、著者の塩田元規さんが経営するアカツキのVISIONにもあげられています。
VISION
A Heart Driven World.
ハートドリブンな世界へ
このハートドリブンとはどういう意味なのでしょうか。
「ドリブン」とは、”原動力”という意味になり、対義語は「インセンティブ」であり”誘因”という意味になります。
「ハートドリブン」という言葉は聞き慣れないかもしれない。一言でいえば、人々が自分の内側のハートを原動力に活動をしていくことである。
塩田元規|ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力
インセンティブという言葉は、企業の中でも頻繁に使われて、お金やストックオプションなどの報酬や地位があげられます。
人のやる気を引き出すために使われますが、極論馬の鼻先にニンジンをぶら下げるように、人をお金で操っているに過ぎません。
そして、インセンティブの問題点は、リソースが必要であり、体力のある会社ならばまだしも、小さな会社ではインセンティブを用意することすらできないということも考えれます。つまり、インセンティブは有限であり、結果として奪い合いになってしまうのです。
人の内側にある感動や感情は、リソースに限りがなく、無限大に生み出される物であり、奪い合いにはならないのです。
心の扉を開けた先には、愛がある。人は、 自分の心につながった時、奥底では他人を不幸にしたいなんて思っていない。そう思う時は、他人が不幸になることが自分の幸せの可能性を上げるっていう思考がそうさせているだけ。ただ、不安なだけなんだ。 でも、これからの世界では、そのロジックも変わってくる。ハートドリブンに生きる時、その姿は共感を生み、世界をもっと輝く場所に変えていく。
外に正解がなく、自分の心の中に答えがある時代。だからこそ、 子供の時には感じていた、でも、大人になって忘れてしまったあるがままの姿を思い出そう。 世界は全部遊び場だ。つながりと安心を感じながら、世界がキラキラして見えていたあの頃に戻ろう。それは、自分の本当の可能性を目覚めさせる。
塩田元規|ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力
ダニエル・ピンクさんの『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』にも通ずることに感じます。
本書の中で、人のモチベーションはバージョンアップしており、お金などの報酬をインセンティブにしたモチベーション2.0の時代は終わりを迎えたことが書かれています。
自分を幸せにする
アカツキの成長と切っても切り離せない存在なのが、社外取締役の勝屋久さんと奥さんの祐子さんだそうです。
塩田元規にも、アカツキの経営が上手くいかず、肉体的にも精神的にも追い込まれ、心臓が常に痛む時があったと言います。
社長は弱さを見せてはいけないと思い込み、感情を切り離しながら、極限状態で経営を続けていた時があったそうです。
そんな時に勝屋祐子さんに次のことを言われたと語っています。
「元ちゃん、いつも世界を幸せにするとか、周りを幸せにするって言ってるけど、その世界の中に元ちゃんは入っているの? 自分も幸せにする対象に入れてもいいんだよ。元ちゃんも幸せになっていいんだよ。
塩田元規|ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力
日本企業の中でも、自己犠牲の中で仕事を行うことが美徳のように語られますが、そういった経営はもう時代にそぐわなくなっているのかもしれません。
誰かのために生きることはかっこいいかもしれませんが、その結果自分が幸せになることができなければ、本末転倒になってしまいます。
ミュージシャンのGACKTさんも「自分が幸せになれないのに他人を幸せにするのは無理だよ。」と語っており、誰かを幸せにしようと思った時に、自分が幸せになる必要があるのです。
偽のダイヤを追いかけるな!
「ハートドリブン」な世界を生きていくために、邪魔になる物が偽のダイヤの存在だと言います。
偽のダイヤは、世間から称賛されるような学校への進学や有名企業へ入社、資格や役職、年収などがあげられます。
偽のダイヤを手に入れることで、一見、自分が輝いているように見えます。
しかし、本当は自分はその偽のダイヤを欲しくないのに、追い求めていることはないでしょうか。
「親がそう言った」「学校の先生が勧めた」「会社の上司から言われた」と言った誰かに本物だと思い込まされたダイヤを追っている人があまりにも多いのかもしれません。
自分の深いところでは「欲しい」と思っていないのに、「これさえ手に入れば」自分の価値が上がると思って偽ダイヤを求めてしまっていないだろうかということだ。いつの間にか「外側の何か=自分の価値」だと思っていないだろうか。外側の何かは、あなたの本質の素晴らしさとは関係ないし、生きるためのツールに過ぎない。でも往々にして、僕たちは勤めている企業、役職や資格などによって、その人の価値を判断してしまいがちだ。だから、その偽物のダイヤが大切なものだと思ってしまう。
でも、本当に欲しいと思っていないものを追い求め続けるのは苦しいことだ。
塩田元規|ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力
ハートドリブンのまとめ
本書は、いかに自分の内側にある物が大切であるかを教えてくれます。
外側のカッコよさばかりを追い求めがちでありますが、外側は内側の一番外側と言われるように、内側を磨かなければ本当の意味での外側は輝かないのだと感じます。
感情と上手く付き合い、魂を磨いていくことで、幸せな人生に近づいていくように感じます。
そうした人たちが活躍できる時代がこれからの時代なのでしょう。