人生が壮大なロールプレインゲームだとしたら、そこに攻略法が存在しているはずです。
ロールプレイングゲームのように人生を楽しむことができていないという人も多いかもしれません。
橘玲さんは、人生をロールプレイングゲームだと考え、そこには攻略法があると言います。
いわば、人生の攻略本のような一冊をご紹介いたします。
人生に必勝法はないけれど、ゲームと同じように、「こうした方がいいこと」と「やってはいけないこと」がある。これから説明するように人生ゲームの鉄則はものすごくシンプルなものばかりだが、それを知っているかどうかで大きな格差が生じる。
橘玲|人生は攻略できる
人生は攻略できる|橘玲
橘玲さんの『人生は攻略できる』は、タイトルにあるように人生の攻略するための攻略本のような一冊です。
本書の冒頭では、今私たちを取り巻く世界のルールが大幅に変化していることにも触れられています。
本書では、変化した新たなルールと攻略法がわかりやすく纏められています。
これからの時代のルールブックと攻略本が一冊に凝縮されています。
本書は橘玲さんの著書の中でも、珍しく若者向けに書かれており、本文の中でも「若い君たち」という二人称で読者に呼びかけられており、20代・30代の人たちに手に取って欲しいという思いを感じられます。
橘玲さんは、金融小説の『マネーロンダリング』や、『言ってはいけない 残酷すぎる真実』など多数のヒット作を世に送り出しています。
働き方に特化した『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』についてもご紹介しています。
本書は、次のような方にオススメです。
人生をロールプレイングゲームのように楽しみたい方
人生の攻略法を知りたい方
これから就職する学生
転職、独立を考えている方
お金、人生、幸せについて考えたい方
これからの時代を生きる20代、30代の方
人生ゲームの大幅なルール変更が行われている
ゲームをしようと思った時に、攻略本を見ると同時に、説明書を読んだり、チュートリアルをプレイしてルールを確認するはずです。
私たちの人生という壮大なロールプレイングゲームは既にスタートしてしまっていますが、ここで一旦立ち止まって、ルールを確認する必要があると言います。
なぜなら、人生というロールプレイングゲームに大幅なアップデートが入り、ルール変更が行われているからです。
最初にいっておかなければならないのは、いま人生ゲームの約束事が大きく変わりつつあることだ。これは日本だけでなく世界的な現象で、「一生懸命勉強していい大学に入り、大きな会社に就職して定年までこつこつ働く」とか、「そういう男性と結婚して専業主婦になる」という、お父さんやお母さんの世代の必勝法はまったく役に立たなくなってしまった。そればかりか、古いやり方にこだわっているとどんどんヒドいことになる。
橘玲|人生は攻略できる
人生のルールに、大型アップデートが行われた要因は、テクノロジーの進歩です。
20年前にはインターネットが生まれたばかりであり、15年前にFacebookやTwitterが世に出てきました。
LINEがサービス開始を発表したのは2011年6月で、当時はビットコインはまだまだ怪しい投資方法の一つでしかありませんでした。
AI(人工知能)であるアルファ碁が、囲碁のトッププロに勝ったのは2015年10月のことです。
これからもみんなが驚くような発明(イノベーション)が次々と出てきて、そのたびにゲームのルールは大きく書き換えられていくだろう。いましか使えない知識をどれだけ覚えても、あまり役に立たないのだ。
橘玲|人生は攻略できる
人生というゲームのゴールは、幸福になること
世の中にあるゲームには、ロールプレイングゲーム、いわゆる全クリというものがあります。
ロールプレイングゲームであれば、最後のボス、ラスボスを倒すことがゴールかも知れません。
好きなキャラクターをゲットしたり、育てたりすることを、自分のゴールと決めることもあるかも知れません。
橘玲さんは、人生のゴールは幸福になることだと言います。
幸福の中身は人によって異なると思いますが、幸福になることを否定する人はいないと思います。
では、幸福を定義するとどのようになるのでしょうか。
ほとんどのひとが同意する幸福の定義はあるだろう。それをここでは2つにまとめよう。
①好きなことを夢中でやって、いまが楽しい
②あとから振り返って「幸福だった」と思える
そしてこの2つはつながっている。好きなことに夢中になるのが「やりがい」で、それが積み重なると「生きがい」になり、それをあとから振り返って「幸福な人生」だと思うのだ。
橘玲|人生は攻略できる
幸福には土台が必要
橘玲さんは、幸福になるためには、土台が必要だと言います。
家を建てるときも、時間がかかるのは土台づくりであり、しっかり土台を固めていないと、地震が来たら倒れてしまいます。
人生もそれと同じで、見せかけの幸福は長くは続きません。
長く続く幸福を人生の中で得ていくには、土台づくりが重要になります。
幸福な人生にも土台が必要で、それは次の3つだ。
①お金(金融資本)
②仕事(人的資本)
③愛情・友情(社会資本)
幸福は、この3つの「資本」の上につくられる。もちろん、その組み合わせ方はひとによって異なるだろう。
橘玲|人生は攻略できる
本書の中では、この幸福になるための土台の作り方をわかりやすく解説してくれています。
お金(金融資本)
お金が全てではないと言いますが、お金はとても大事なものです。
橘玲さんは、次のように言っています。
お金はなぜ大事なのか。それは、君をお金から自由にしてくれるからだ。
橘玲|人生は攻略できる
では、お金をどのように稼いでいけばいいのか。
その答えは、次の計算式で簡単に表すことができます。
これは、橘玲さんが考えた公式ではなく、どのお金に関する本にも書いてある、もはや常識のような公式です。
お金持ち=(収入−支出)+(資産×運用利回り)
橘玲|人生は攻略できる
多くの人は、この公式を簡単に知ることができるのに、それを活用しきれていないから、お金持ちになることができないのです。
この方程式を紐解いてみると、非常にシンプルな答えが導き出されます。
この方程式から、お金持ちになるには次の3つの方法しかないことがわかる。
①収入を増やす
②支出を減らす
③運用利回りを上げる
収入を増やす方法は2つある(というか、2つしかない)。
①金融資本を金融市場に投資する
②人的資本を労働市場に投資する
橘玲|人生は攻略できる
橘玲さんは、若い人たちは金融資本を持っておらず、金融市場に投資することで収入を増やすことはお勧めしていません。
若い世代が収入を増やすためにやることは、人的資本を投下していくことなのです。
年齢が増していけば、自然と貯金や株などの金融資産が増えていき、そこで初めて金融投資でお金を作ることができるようになります。
つまり、若いうちは働くことが最も手軽にお金持ちになる方法なのです。
富を獲得するには、金融資本を金融市場に投資するか、人的資本を労働市場に投資するかの2つの方法しかない。だったら、どうすればいいかは考えるまでもないだろう。君がお金持ちになるもっとも確実な方法は人的資本を運用すること、すなわち働くことなのだ。
橘玲|人生は攻略できる
金融資本で金融投資すると損する可能性が出てきますが、人的資本を投資して行くことのメリットは一切損する可能性がなく、リスクがないということです。
人的資本の重要性は、リンダ・グラットンさんの『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略 』など、多数の本の中で述べられており、今の時代を生き抜く一つのテーマのような気がしています。
リンダ・グラットンさんは、無形資産という言葉を使っていますが、本質的にはほぼ同じものを指していると言って問題ないでしょう。
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お金についてのアドバイスの最後に、橘玲さんは次の3つのアドバイスを書いてくれています。
君がこれから社会に出てお金を増やそうと思ったとき、これだけは知っておいてほしい3つのことをざっと書いておこう。
①宝くじは買わない
②マイカーもマイホームもいらない
③ウマい話は君のところにはぜったい来ない
橘玲|人生は攻略できる
宝くじに関しては、堀江貴文さんや勝間和代さんも「愚者の税金」であると語っており、橘玲さんも全く同じ意見を言っています。
ウマい話には、必ず裏があり、簡単に稼げるものなど世の中にはないということが普通わかります。
しかし、お金の話になると冷静な判断ができなくなってしまうのが人間なのかも知れません。
人的資本を投下するということは、つまり努力が伴うということです。
努力の先に、幸せな人生が待っているということを忘れてはいけません。
仕事(人的資本)
仕事について最初に知っておくべきは、日本のサラリーマンは世界で一番会社が嫌いであるということです。
会社が嫌いで、飲み会に行っても愚痴ばかりなのに、多くの人たちが本気でそこから抜け出そうとしていないことが不思議でたまりません。
まざまな国際調査で、 日本のサラリーマンは世界でいちばん会社が嫌いで、自分の仕事にネガティブな感情を抱いていることがわかっている。さらに、1人当たりの労働者がどれくらい利益をあげたかを示す労働生産性で、日本人はアメリカ人の7割しか稼いでいない。
橘玲|人生は攻略できる
働き方に関しては、その項目だけで橘玲さんが『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』という本を出しているので、そちらを読んでいただくのが良いと思います。
本書を読んだ後に『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』を読むという順番が読みやすと感じます。
今、世界では働き方の大変革が起きている真っ最中です。
これからの時代の主流な働き方は、様々なプラットフォームを活用しながら、フリーエージェント、ギグ・ワーカーとして生きていくことだと言われています。
会社が大嫌いな日本人にとっては、会社から抜け出す最大のチャンスが訪れているように感じます。
愛情・友情(社会資本)
橘玲さんは、本書の中で、幸福には色々なかたちがあるけれど、不幸は一つしかないと言います。
幸福の土台は、上の図のように、金融資本、人的資本、社会資本によって成り立っています。
世の中には、社会資本しか持っていない人もいます。
社会資本だけ持っている人のことを、プア充と呼んでいます。
金融資本も人的資本もないけど、社会資本は持っているタイプ。貯金はゼロで、仕事はバイトか非正規だけど、恋人や友だちにいつも囲まれている。その典型はジモティとかマイルドヤンキーと呼ばれる地方在住の若者で、学校時代の友だち関係をずっと継続できるから、財布の中身はさびしくても、週末にはみんなでドライブに行ってバーベキューをやったりする。彼ら/彼女たちはプア(貧乏)でも充実している「プア充」だ。
橘玲|人生は攻略できる
友達や恋人はおらず、貯金もないが、給料が高いという人は、ソロ充。
金融資産だけを持っている人もいると思いますが、それは年金生活者などで、若い人は関係ありません。
3つの幸福の土台のうち、2つを持っている人たちも存在します。
人的資本と社会資本を持っている人たちは、リア充。
金融資本と人的資本を持っている人たちは、ソロリッチ。
社会資本と金融資本を持っている人たちは、お金持ちと結婚した専業主婦などがあげられます。
橘玲さんは、この金融資本、人的資本、社会資本の3つを全て持った人を、超充と呼んでいます。
誰もが超充を目指していきたいと思うはずですし、超充になることが出来れば、最高の幸せを手に入れることができるはずです。
しかし、金融資本と社会資本はトレードオフになってしまうことが多いので、注意が必要です。
日本では「お金の切れ目が縁の切れ目」と言われるように、友だちがお金を持つと嫉妬してしまったり、その人からお金を借りようとしたりして、人間関係が悪化してしまうことがしばしばあります。
この2つの資本を、慎重に増やしていく必要があります。
そして、橘玲さんが、人的資本を幸福の土台の真ん中に置いてあることにも意味があると言います。
それは、人的資本からしか金融資本は生み出せず、金融資本から人的資本は生み出せないということです。
現在は、評価経済という言葉が浸透し、信頼がいかに重要かは多くの人が感じていると思います。
人的資本を増やし、たくさんの信頼を作ることができれば、いくらでも金融資本を生み出すことができるのです。
信頼や信用の重要性については、キングコングの西野亮廣さんも色々な場所で語っています。
まとめ
本書では、前半は人生というロールプレイングゲームのルールが変更され、これからの時代の新たなルールを解説してくれています。
後半は、具体的に幸福になるという人生のゴールへいかに近づいていくかについての攻略法が描かれています。
橘玲さんの著書は、少し読むのに根気がいるものが多かったですが、本書は非常にわかりやすく、普段本を読まない人も読めるように書かれています。
今の20代、30代の人たちは、過去のルールに従って生きていては幸せになることができないことは誰の目に見ても明らかな時代を生きています。
その中で、金融資本、人的資本、社会資本という3つの幸福の土台を築いていくことで、幸福への道が開いていくはずです。
幸福に生きるために人生を攻略したいという今の20代、30代の方に非常におすすめの1冊です。
本文中でも紹介しましたが、本書の後に『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』を読まれると、人的資本の部分である、仕事や働き方についてより深く理解できると思います。
橘玲さんが、日本の構造的な社会問題をぶった斬った『上級国民/下級国民』も紹介しています。若者世代が損をし続けた平成という時代が終わり、令和もこの構造は変わりません。いかにして下級国民を抜け出していくべきなのかを説いた話題作です。
上記の『上級国民/下級国民』の続編の『無理ゲー社会』もとてもオススメです。
ゲーム好きな方には、人生をドラゴンクエストに例えたJUNZOさんの著書もおすすめです。

