【書評】『苦しかったときの話をしようか』サラリーマンは奴隷!|森岡毅【要約】

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経営危機に瀕していたUSJをV字回復させた立役者として知られる森岡毅さんが、4人の子供達に残した『虎の巻』を出版したという話題作。

森岡毅さんは、P&Gに入社後、日本でヴィダルサスーン、北米でパンテーンのブランドマネージャーを務め、文字通り世界を舞台に活躍をされていました。

その後、ユー・エス・ジェイに入社し、ジェットコースターを後ろ向きに走らせたり、ハリーポッターを誘致するなど、奇抜なアイディアを実行し、快進撃的な復活をさせましたら。

P&G、USJという入社することすら難しい企業で、両社で大活躍した超エリートサラリーマンである森岡毅さんが、子供達に残したメッセージが、本書にはほぼそのまま記載されています。

苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」|森岡毅

苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」|森岡毅

本書は、次のような方にオススメです。

icon-check-square-o 何をしたいのかがわからない方
icon-check-square-o 就職、転職で今後のキャリアに悩んでいる方
icon-check-square-o 今の会社にずっといていいのかわからない方
icon-check-square-o 更にキャリアアップしたい方
icon-check-square-o USJが好きな方

4人のお子さんを持つ森岡毅さんは、長女が大学2年になる頃、キャリアに悩んでいる姿を見て、子供達のためにひっそりとキャリアに迷ったときに役立つ『虎の巻』を作成していました。

娘は確かに悩んでいて、その悩みを本人が紐解いていく方法を私は確かに知っているように思える。ならば、私らしく『パースペクティブ(本人が認識できる世界)』を体系化して、わかりやすく書き出して伝えよう。文章ならば、伝える方も聴く方も冷静になれるだろう。

答えは一人一人が自分で出さねばならないが、自分の将来や仕事のことを考える際の「考え方(フレームワーク)」は知っておいた方が良いのは間違いない。言うなれば、子供たちがキャリアの判断に困ったときに役に立つ『虎の巻』をつくろうと思ったのだ。それから仕事の合間や、ふと思いついた日の晩などに、ちょくちょく書き足していった。気がつけば丸1年以上にわたって筆を入れ続けた『虎の巻』は、かなりの分量になっていた。

森岡毅|苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

ある日、編集者から新作の催促をされたときに、全く書けていなかったことから、苦し紛れにこの『虎の巻』を出し、そのまま出版されることになったと言います。

家族の呼び名を書き換えたり、読みやすい表現に変更したところはあるものの、ほぼそのまま出版されたそうです。

超エリートサラリーマンの森岡毅さんが、愛する子供達に伝えたかったキャリアのアドバイスが盛りだくさんです。

意外にも、最愛の子供達へ示したものは、サラリーマンで出世するためのヒントではなかったのです。

 

クラゲのような人生を送るな

クラゲ

一昔前までは、日本人にはある種の正解のような人生が存在し、その道から外れた人は幸せには決してなれないような風潮がありました。

良い大学に入り、誰もが名前を知っている大企業に入ることが、唯一の正解であり、一度大企業に入れば一生会社が幸せを保証してくれる。結婚して、子供が生まれ、夢のマイホームを購入し、35年のローンを払い続けるために身を粉にして働き、そのご褒美として年金で優雅な老後を過ごす。

そうした、一種のロールモデルが存在していましたが、そうした人生をこれからの日本で送ることは不可能になりました。

しかし、いまだに親は大きな会社に入れとアドバイスを送り、先生たちも良い企業に入ることが幸せと教育し、就活サイトを見ても多額の広告料を払った一流企業ばかりが紹介され、その道以外を選択することは許されない空気が醸成されています。

 

しかし、ここ数年で一気に働き方は多様化し、選択肢は無数に増え続けています。

YouTubeを見れば、YouTuberと呼ばれる新たな職業の人たちが活躍し、SNSを見ればインフルエンサーという人たちが会社員以上の影響力を持って世の中を動かしています。

これからの時代はそうした新たな選択肢を自分で選ぶことができる人が、有利にキャリアを作っていくことができます。

 

森岡毅さんは、クラゲのような人生を送っていないかと警告をしています。

目の前の大きな波に身を任せることは短期的に見れば、楽な道かもしれませんが、一度その波に飲み込まれると、自分の力で抜け出すことはなかなか難しくなってしまいます。

そして、年齢を重ねてから、自分が流されてきた道は本来自分が進みたかった道とは違うのではないかと気がついても、時すでに遅し、取り返すことができないのです。

我々は、〝クラゲ〟のような人生を送っていないか?世の中のうねりは、受動的に生きている大多数の人々をすぐに飲み込んでしまう。自分をちゃんともっていないと、誰もがすぐに世の中に影響されて流されてしまうのだ。自分では都度の課題に対処しながら一生懸命に動いているつもりでも、その人の真実はフワフワしながら潮に流されているだけだ。明確な意志を持っていないので、潮の流れの中で自由に泳ぐことができない。10年、15年経って、かつての知人が潮の中でも俊敏に動ける魚になっているのを目の当たりにしたとしたら、己のクラゲ人生に満足できるだろうか。

我々は、〝エスカレーター〟に身を任せていないか?目の前にエスカレーターがあると、階段を登るよりも楽そうだから、誰もが思わず飛び乗ってしまいたくなる。でも、エスカレーターは一度乗ってしまうと、最終地点まで一定の軌道上を動く以外に自由がなくなるのだ。前方にはオッサンたちの背中が一直線でひしめいている。すぐ後ろには後輩たちがうらめしそうにこちらを見ている。サンドイッチになって身動きが取れず、降りられる気もしない。本当は嫌なら脱出すべきなのだが、多くの人がその選択肢を選べずにずっと乗ったままだ。そして実際には、到着点までは乗せてもらえないことが多いにもかかわらず、「降りろ」と言われるまで自分から降りることを選択しない。

森岡毅|苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

多くの人が、自分が進みたい選択肢を”選べた”もしくは今からでも”選べる”のに、選ぼうとしないのです。

それは、自分が”選べる”ということに気がついていないからであり、自分の頭にある選択肢は選択できないのです。

 

会社と結婚するな、職能と結婚せよ!

スキル 職能

森岡毅さんは、会社に依存するのではなく、自分地震のスキルである職能を意識することを勧めています。

日本では、就職活動と呼ばれるにも関わらず、どの会社に入るのかが重要視され、就社活動になってしまっています。

会社ではなく、職能が大事な理由として、2つ挙げられています。

  1. いくら会社に惚れ込んでも、結婚できない
  2. スキル(職能)こそが、相対的に最も維持可能な個人資産である

 

会社とは結婚できない

会社は自分の人生の目標とは全く無関係に存在しているものです。

自分がいくら会社が好きであろうと、会社の業績が悪くなれば、クビを切るし、今や会社の寿命はどんどん短くなっており、倒産する可能性もあれば、海外の企業に買収されることもあります。

そもそも何故その会社が存在しているかを考えれば、創業者の夢を実現するために生まれたのであり、あなたの夢を叶えるために作られたわけではありません。

会社からの仕事をこなせば、創業者の夢には近づくかもしれませんが、それはあなたが創業者の夢の歯車になっているに過ぎません。

 

スキル(職能)こそが、相対的に最も維持可能な個人資産

家は火事になくなりますし、お金は盗まれるかもしれません、大切な家族もいつ病気や事故で亡くなってしまうかわかりません。

しかし、一度身に付けたスキル(職能)は、家の中のものを全て盗まれても、盗まれることなく、存続していきます。

もちろん、時代とともに世の中に求められるスキル(職能)は変わっていくため、常にアップデートしていく必要があります。

森岡毅さんは、能力が低い人ほど、AIを過度に恐れていると言い、AIが流行れば流行るほど、自分のスキルを高めていくことが重要だと言います。

 

経済格差は、知力の格差

世界中で経済格差が問題になっています。

世界のたった数名の億万長者が、世界の下位半数の人口が持つ富と同じだけの富を持っているとも言われています。

森岡毅さんは、東大生の親の平均世帯収入が高いのは、東大生の親の「知力」が高いからだと言います。

経済の格差が、教育水準の差になっているわけではなく、知力の差が経済格差を生み出しているのです。つまり、経済格差は原因ではなく、結果であるのです。

 

資本主義において、2種類の人間しかいない

世の中を見たときに、無数の職業があり、たくさんの職種がありますが、大きく分けると、2種類の人間しかいないと言います。

これが、資本主義の本質であり、事実であるのです。

その2種類とは、自分の24時間を切り売りしながら働く「サラリーマン」と、他人の24時間を使って稼ぐ「資本家」です。

資本主義とは言葉の通り、サラリーマンを働かせて、資本家が儲ける仕組みであり、サラリーマンという選択した時点で、どれだけ能力が高く、どれだけ努力をしたとしても、資本家には一生追いつけないのです。

その資本主義社会においては、大きく分けると2種類の人間しかいないことを知っておかねばならない。自分の24時間を使って稼ぐ人と、他人の24時間を使って稼ぐ人。前者を「サラリーマン」と呼び、後者を「資本家」と呼ぶ。資本主義とは文字通り、後者の資本家のためにルールが作られた社会であることを知っておかねばならない。わかりやすく言うと、資本主義社会とは、サラリーマンを働かせて、資本家が儲ける構造のことだと言える。サラリーマン側で人生を過ごした人と、資本家側で人生を過ごした人の、生涯年収の平均値を比較すると、桁数がいくつも違う結果になる。この極端な差には本当に驚くが、それが現実だ。

森岡毅|苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

 

しかし、誰もがわかるように、収入に何百倍、何千倍の差が出たとしても、能力がそれだけ違うわけではないですし、使える時間は全く一緒です。

森岡毅さんの周りには、P&G時代には頭の良い人は山ほどいたと言いますが、誰もがサラリーマンという選択をしていたと言います。

この違いは、パースペクティブの差であると言います。

自分が知っている世界の外は認識することができないため、いくら頭の良いエリートサラリーマンのP&Gの社員ですら、資本家という存在に気がつくことができないため、資本家という選択肢がそもそも頭の中にないのです。

パースペクティブを広げ、資本家という選択肢を知った瞬間から、誰がも資本家という道に行ける可能性が生まれるのです。

資本家になるための難易度が高いのではなく、みんな認識していないからなっていないだけなのです。

 

サラリーマンは、職業選択のある奴隷

サラリーマン 奴隷

森岡毅さんは、サラリーマンは職業選択の自由を与えられているものの、その本質は奴隷と変わらないと言います。

今のサラリーマンはかつての「奴隷」と違って職業選択の自由を与えられている。だから決して奴隷ではないが、わかりやすく説明するために「奴隷」という言葉を敢えて使うことを 赦して欲しい。かつて労働者を「奴隷」のように扱っていた時代がある。その時代に資本家が大量の奴隷を使って儲けていた構造と、今の資本家が大量のサラリーマンを使って儲けている構造は、本質的には大きく変わらない。今の資本家の方が、基本的人権のせいで人件費を多く払わされているだけだ。

森岡毅|苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

 

今の日本の学校教育システムでは、資本家の存在を見て見ぬ振りをし、一切そうした世界を教えずに、サラリーマンだけが正解のように教育をしています。

そして、その結果として、サラリーマンとして一生を過ごすことに何の疑問も持たない、優秀な奴隷が今日も生み出され続けているのです。

 

どれだけサラリーマン社会の組織ピラミッドの中で偉くなろうと、年収を2000万円とろうと3000万円とろうと、その外にいる資本家から見れば歯車は単なる歯車だ。それに気づいた私は大きな組織で偉くなることが全く魅力的に思えなくなった。課長とか、部長とか、社長とか、そんな肩書は、優秀な歯車を気持ちよく働かせて檻の中に閉じ込めるための呼称に過ぎないからだ。

(中略)

自分に勝るとも劣らない優秀な人間をたくさん集めて、ピラミッドの階段を登らせて気持ちよく働かせ、最後に圧倒的に儲けるのは資本家である。何度も言うが、この世界は平等ではなく、資本家のために都合よく構造が作られている。それが「資本主義」だから、その帰結は全くの必然だ。1つ例を挙げるなら、汗水垂らして働いたサラリーマンの所得にかかる最高税率は5割をゆうに超えるが、汗を一滴も流さない資本家の株式配当に対して税は2割しかかからない。そういうことはちゃんと知っておいた方がいい。

森岡毅|苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

意外にも思われるかもしれませんが、森岡毅さんが愛する子供達に伝えたかったことの一つは、サラリーマン以外の資本家たちがこの世界の中心であり、そうした生き方の選択肢を提示することだったのです。

森岡毅さん自身もこの投資家の存在に気がついたのは、USJに転職した30代半ばであり、それまでのエリートサラリーマンとして過ごしたP&G時代はサラリーマンという道しか見えてなかったそうです。

 

まとめ

P&Gで大活躍し、USJを再建させるという偉業を成し遂げ、誰もが羨むほどのサラリーマンとしての成功、名誉、名声を得た森岡毅さんですが、子供達に残そうとした芽セージは、サラリーマン以外の生き方の提示だったのです。

資本家と聞くと自分とはかけ離れていると感じる人がほとんどかもしれませんが、それはパースペクティブの差であり、自分が資本家の存在を認識することができれば、資本家になるためのヒントが見えるようになると言います。

サラリーマンと資本家で、どちらの生き方が正解ということはありませんが、サラリーマンという選択肢しかないと思って人生を生きるのか、サラリーマン以外の資本家や様々な新しい働き方を選択肢に持って生きていくのかでは、全く違う人生が待ち受けているように感じます。

今、キャリアで悩んでいたり、就職活動・転職活動を行っている人は、決断をする前に是非本書をお手に取っていただき、まずはパースペクティブを広げるところから初めて見てはいかがでしょうか。

 

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