仕事をしていく中で、プレイヤーとしては結果を出すことが出来ていたのに、部下が出来たり、チームを率いる立場になった時に上手く行かなくなったしまったという経験があるという人も多いのではないでしょうか。
自分がリーダーになるということは、今まで自分がやっていた仕事を部下に仕事を振り分け、チームとして結果を出すことが求められます。
これはビジネスの世界だけでなくても、スポーツや音楽など至る所で見られることですが、名プレーヤーであっても、名リーダーになれないという人はたくさんいます。
継続的に成長していける人は、プレイヤーとリーダーの資質の両方を持ち合わせる人だけだと言います。
リーダーシップは日本人に圧倒的に不足している能力の一つだと言われますが、これからの時代に活躍していくためには、リーダーシップは重要な能力であることは間違いありません。
世界最強の頭脳集団であるマッキンゼー・アンド・カンパニーでは次の二つを重視していると言います。
マッキンゼーではクライアントの問題を解決するための「ロジカル・シンキング」(論理的思考)の育成とともに、世界のどこでも通用するグローバルリーダーの育成も重視しています。
リーダーシップと聞くと、出世する人だけが身につければ良い、管理職になる人が身につけるものと考える人もいるかもしれませんが、リーダーシップは誰もが身につけるべき能力だと思います。
今回は、マンガでわかりやすくマッキンゼー式のリーダーシップを学ぶことができる一冊をご紹介いたします。
リーダーシップの本は数多く出版されていますが、マンガで描かれており、誰もが読みやすい本はなかなかないため、非常にオススメの一冊です。
マンガでわかる! マッキンゼー式 リーダー論|赤羽雄二
ご紹介する本は、世界最強の頭脳集団であるマッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタントとして活躍された赤羽雄二さんの著書である『マンガでわかる! マッキンゼー式 リーダー論』です。
前作『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』でも登場していた「西園寺美玲」という女性が主人公です。あるプロジェクトを任され、意気揚々と進めていこうとしますが、タイプの異なる4人の部下の心をつかむことができず、全くチームをまとめることができません。そんな時に、前作の主人公だった同僚である桃子の彼氏である元マッキンゼーの「角井健二郎」に助けを求めます。そこから少しずつリーダーシップを学んで行き、プロジェクトの成功に向けて邁進して行きます。
女性が主人公であるため、女性にもオススメの一冊です。
前作を読んでいなくても内容は十分理解できますが、今日本人のビジネスパーソンに求められる「ロジカル・シンキング」と「リーダーシップ」の両方についてマンガでわかりやすく学ぶのであれば、ぜひ合わせて前作もお読みいただければと思います。
ロジカル・シンキングと聞くと、社会人は誰もが身につけるべき能力であると思われる人も多いですが、リーダーシップを身につけなければいけないと感じている人はまだまだ少ないように感じます。
本書の中で、論理的思考だけでは上手くいかないと言います。
コンサルティングや組織改革を行うにあたって、ロジカル・シンキングだけではうまくいきません。組織やチームを導くためには、リーダーシップが必要不可欠だからです。
そのためマッキンゼーでは、組織を動かすうえでのリーダーシップ育成を重視しています。
リーダーシップは誰でも身につけられる
リーダーシップと聞いて、具体的に定義できるという人は少ないのではないでしょうか。なんとなくリーダーとしてチームを引っ張っていくことであることはわかるけど、リーダーシップについてはっきりと理解できていないという人がほとんどであると思います。
赤羽雄二さんは、リーダーシップについて次のように定義しています。
リーダーシップとは、①部下、チームにビジョンを示し、②そのビジョンを達成できる具体的な方針を示す。そして、③メンバーそれぞれが何をすべきか役割分担を明確にし、④それぞれにやる気を出させ、皆の気持ちをひとつにし、⑤無理だろうと思っていた高い目標であっても、なんとか達成できるようにすることです。
相手と信頼関係を築く「アクティブリスニング」
マッキンゼーのような職場であると、働いている人はみんな頭脳明晰で、メンバー同士のコミュニケーションは最低限で、仕事だけに集中しているといったイメージを持つ人もいるかもしれませんが、そうではありません。
マッキンゼーでも上司と部下はしっかりとコミュニケーションを取り、信頼関係を築きます。その方法の一つが「アクティブリスニング」と呼ばれるものです。
ポイント① 相手の話を遮らずに最後まで聞く
1つ目のポイントは相手の話を遮らずに最後まで聞くことです。これが出発点になります。
部下は、言いたいことを全て上司が聞いてくれるだけでも満足する場合がほとんどです。途中で上司が早合点し、間違った解釈をするほうが何倍も面倒です。
ポイント② 相手に聞いている姿勢が伝わるようにする
2つ目のポイントは、こちらの聞く姿勢が相手に十分に伝わるようにする。この2つ目と次に紹介する3つ目のポイントが、「アクティブリスニング」に「アクティブ」という言葉を使っているゆえんでもあります。
相手の気持ちを理解しようと、興味を持って聞いていると、自然と言葉が出てしまったりしますが、日本人は恥ずかしがって相槌などを打つことが苦手ない人が多いと言います。しかし、相手の気持ちに対して反応しないということは相手からの信頼を得る機会を逃していることだと言います。
「なるほど!」「そうですか!」「それは知らなかった!」「素晴らしい!」と言ったことを相手の話の合間に入れることで相手からの信頼が得やすくなります。
しかし、どうしても恥ずかしくて声に出して相槌を打てない場合は、「身を乗り出して聞く」「メモを取る」ということから始めてみることもオススメされています。
ポイント③ 疑問点はその場で質問する
最後の3つ目のポイントは、疑問点があればその場ですぐに質問することです。
最後にまとめて質問をしようとすると、話を聞いているうちに疑問点がうやむやになってしまうため、疑問点はその場で質問をして解決すべきだと言います。すぐに質問すると自分自身の納得感も上がり、話している相手もしっかりと聞いてくれているという安心感を得ることが得ることができます。
しかし、質問の仕方についても少し注意が必要だと言います。相手が話しやすいような質問をする必要があります。
ただし、質問を詰問調で行うと、部下は責められていると感じて萎縮し、何も話してくれなくなります。ロジカルな思考の持ち主ほど、「なぜか」「なぜしなかったのか」「なぜ見過ごしたのか」という「なぜなぜ」攻撃をしてしまいがちなのですが、これは、瞬時に部下を萎縮させます。
あくまで、話に好奇心を持って聞く姿勢を忘れないようにしてください。
ホワイトボード活用術
意外にも思われるかもしれませんが、マッキンゼーのリーダーシップの中で、ホワイトボードの使い方にもコツがあると言います。
ポイント① リーダーみずからが書く
多くの人が会議の際にホワイトボードに記入するのは書記の役割と思う人もいるかもしれませんが、リーダーがみずから書くことが重要だと言います。
部下がホワイトボードを書くとわからないことがあっても聞き直したり、流れを止めて質問をするということができませんが、リーダーがホワイトボードを書くことで、不明瞭な発言があれば、その場で聞き直し、はっきりさせてから書くことができます。
ポイント② 発言内容は短い単語ではなく、文章のまま書く
これも意外に思われるかもしれませんが、ホワイトボードに書く時は、短い単語ではなく、発言内容をなるべくそのまま書くほうが良いと言います。
ホワイトボードを使う人は発言内容を全部聞いてから要約して書こうとしてしまいますが、負担になり、勘違いをしてしまうと不正確になってしまうため、議論が積み上がっていかないと言います。
また要約しすぎてしまうと、発言した人は自分の意見をリーダーに取られたと感じてしまう人もいるため、そのまま書くことが重要です。
ポイント③ 意見が対立したときは、ホワイトボードの左右に分けて議論を整理する
意見が対立した時は、ホワイトボードにA案、B案と書いていき、比較すると良いといます。対立を「見える化」することで、ほとんどの場合、良い意見が一目瞭然になるそうです。
まとめ
本書は、これからリーダーシップを学びたい、リーダーの立場になったからリーダー論を学びたい、リーダーを目指して成長していきたいという方などに非常にオススメの一冊です。
リーダーシップに関する本は、内容が難しいものや、理論ばかりが述べられどのように活かしていくかがわかりにくいものなどありますが、本書はマンガで書かれているため、誰でも気軽に読みやすく、すぐ実践に移していける内容ばかりが書かれています。



