多くの人が、日本では学校でお金のことについて教えてくれないことに気がついています。
その結果、お金について話すことが一種のタブーのようになっていることもあります。
多くの人がお金に対して不安を持ちながら生活しています。
お金がないから、欲しいものを我慢し、旅行の行き先は予算と相談しなければなりません。
もっと大きなことになると、お金が原因で人生の中でチャレンジが出来ないということもあります。
新時代を生きるための経済・金融情報サイトZUU onlineなどを運営するZUUの創業者である冨田和成さんは、『稼ぐ人が実践している お金のPDCA』でPDCAを使うことでお金の不安を一蹴できると言います。
稼ぐ人が実践している お金のPDCA|冨田和成
著者の冨田和成さんは、野村證券で数々の社内記録を打ち立て、史上最年少で本社の超富裕層向けプライベートバンク部門に異動された経歴を持ち、金融メディアなどを取り扱うZUUを創業しています。
代表作として、『鬼速PDCA』があり、下記のブログでご紹介しています。
金融のプロフェッショナルである冨田和成さんが、多くの日本人が抱えるお金の問題に対して、PDCAで解決し、人生の夢や目標まで達成していく方法を紹介しています。
本書は、次のような方にオススメです。
何にお金を使ったかすぐに思い出せない方
お金に苦手意識がある方
挑戦したい夢や目標がある方
稼ぎたい方
資産形成や将来のプランを立てたい方
お金のPDCAの目次
第2章 「お金のPDCA」を鬼速で回す
第3章 時間はお金で買える―時間資本
第4章 自分を「資本」とする稼ぎ力―人的資本
第5章 お金に働いてもらう稼ぎ力―金融資本
『お金のPDCA』執筆のきっかけ
本書の冒頭で、冨田和成さんが後輩から起業について相談されたシーンが紹介されています。
相談に来た後輩は、2年後に起業するつもりだと言います。
しかし、なぜ2年後なのかを問いかけると言葉に詰まってしまいます。
その後輩は、年収2000万円あり、もし起業が上手くいかなかったとしても1年半〜2年間は家族を養うことが出来るほどの貯蓄はあると言います。
冨田和成さんは、年収2000万円も稼ぐことが出来るほどの能力があるならば、いますぐ起業することをオススメします。
それだけの能力があるのであれば、起業に挑戦して、上手くいかなければ資金が尽きる前に再度就職活動をすれば、働ける場所は山ほどあるとアドバイスします。
チャレンジの第一歩が踏み出せない人は、この後輩に限ったことではなく、多くの人が同じ状況に陥っていると言います。
大きな可能性を秘めているのに、見えない漠然とした不安に襲われ、時間がだけが過ぎていき、気が付いたときには、身動きが取りにくい年齢や状況になってしまっている人があまりにも多いと言います。
冨田和成さんは、多くの人がチャレンジ出来ない理由を次のように言います。
答えは、自分の状況を俯瞰的に眺め、お金をコントロール可能な状態にできていないからです。こうなると、自分の能力を的確に判断することも難しくなります。その結果、「見えない不安」が常に自分の中に存在し、自分自身に制約をかけてしまうのです。
冨田和成|稼ぐ人が実践している お金のPDCA
マズローの欲求5段階説
マズローの5段階欲求説を用いて、チャレンジしたいことがあるのにチャレンジできない状況を、解説しています。
マズローの5段階欲求説とは、心理学者アブラハム・マズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定して、人間の欲求を5段階に理論化したものです。
重要なことは、1つ下の欲求が満たされない限り、上位の欲求を求めることはできないということです。
つまり、生理的欲求や安全欲求という、人が生きていく根本にある欲求が満たされない限り、自己実現欲求までは決して追い求められないのです。
例えば、山で遭難している状況の中で、自己実現について考える人はいません。
まずは、身の安全や食糧などの確保の欲求が働きます。
年収2000万円の後輩の話では、自分のお金に関する状況が理解できていないから、自分の身の安全が確保出来ているかわからず、自己実現に踏み切れないのです。
「見えない不安」の源泉が生理的欲求や安全欲求である限り、人は生理的欲求を満たし安心・安全な暮らしがしたいという欲求にもとづいて行動し、チャレンジができないのは当然の決断なのでしょう。
冨田和成|稼ぐ人が実践している お金のPDCA
P/LとB/Sは人生のヘッドライト
もし真っ暗な道を車で走っている際に、ヘッドライトをつけていなければ、数m先も見ることが出来ず、まともに運転は出来ないはずです。
しかし、ヘッドライトを付ければ、目的地まで照らすことは出来なくても、数十m先までは見通すことができます。
そのまま走り続ければ、目的地まではたどり着くことができます。
つまり、目的地まで見える必要はなく、最低限の進むべき方向が見えていれば、目的地にたどり着くことが出来るのです。
これは、人生においても同じことが言えます。
10年先まで完璧に見通すことはできませんが、1〜2年先まで見通すことができれば、前に進む勇気が出てくるはずです。
必要なものはヘッドライトであり、その照度をあげてながら、状況を把握しながら前進していくことで、人生の中でのゴールや目標、夢に近付くことが出来るはずです。
冨田和成さんは、人生の中でのヘッドライトは損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)だと言います。
リアル世界において、「行く手を照らしてくれる〝ヘッドライト〟」とは何でしょうか? 私は、損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)こそが究極の〝ヘッドライト〟であると考えています。
冨田和成|稼ぐ人が実践している お金のPDCA
〝自分株式会社〟のCFO
損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)と聞くと、企業がつけるもの、簿記をやってる人だけが知っていれば良いと感じるかもしれません。
しかし、法人という言葉に、人という文字が入っているように、法人と個人は非常に似ている性質を持っていると言います。
冨田和成さんは、〝自分株式会社〟の代表もしくはCFO(最高財務責任者)だと思って生活していくことをオススメしています。
ありとあらゆる企業が、損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)を用いて、自社の資金繰りと向き合っていることを考えれば、個人のお金の問題についても、損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)を用いてしっかりと把握することが重要であることは理解できるのではないでしょうか。
私は常々、自分のお金の状況を改善したいなら、「自らを〝自分株式会社〟の代表、またはCFO(最高財務責任者)だと思って行動しましょう」と言っています。個人と会社である法人を並列に捉え、法人で行っている財務管理の手法を個人にも当てはめてほしいと考えているからです。
冨田和成|稼ぐ人が実践している お金のPDCA
冨田和成さんは、本書の中で、たくさんお金を稼ぐことが目的ではなく、限られた金額であってもしっかりと把握して、1000円単位でコントロールできるようになって欲しいと言います。
まとめ
多くの人が財務諸表、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)という言葉を聞いたことがあっても、会社の中で財務関連の仕事をしている人や、簿記の資格を持っている人以外は、自分とは関係ないと感じてしまっているのではないでしょうか。
本書の中では、個人用に落とし込んだ損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)が紹介されており、いかにこのバランスシートを改善していくかが紹介されています。
資産が増えれば当然収入が増えていきます。
現代社会において、資産は金融資産や不動産のようなものだけではなく、知識や人脈と行った人的資本も入ってきます。
つまり、収入が多い人や既に資産を持っている人だけではなく、努力によって誰もがバランスシートを改善することができ、稼ぐ力をつけていくことができるのです。
P/LとB/Sの概念を下敷きにし、PDCA(Plan、Do、Check、Adjust)を実践しながらお金を管理すれば、一生涯にわたって稼ぐ能力も得られるのです。本書は、その能力を身に付ける方法について書かれています。
冨田和成|稼ぐ人が実践している お金のPDCA
冨田和成さんの代表作の『鬼速PDCA』もとてもオススメの一冊です。
本書とあわせてお読みいただくことで、より理解が深まると思います。
下記のブログで、ご紹介しています。