『フリーエージェント社会の到来』組織に雇われない新しい働き方|ダニエル・ピンク【書評・要約】

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日本でも、働き方改革、副業解禁という時代の流れに乗って、ノマドワーカー、フリーエージェント、フリーランス、ギグワーカー、個人事業主といった、会社に雇われずに仕事をしていく人が過去にない勢いで増え始めています。

これから組織に雇われずに働きたいと考えている方や、副業を本業にしていきたいと考える方も増えているように感じます。

アメリカでは、こうした組織に雇われない働き方を、一般的にフリーエージェントと呼びます。

フリーエージェント (free agent) とは、組織に雇われない働き方をする人々である。

主にインターネットを使って自宅で働き、アメリカでは労働人口の四分の一がこの働き方を選んでいる。

引用元:Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/フリーエージェント (労働)

また、日本においてフリーエージェントについて研究をしている、三島重顕氏は次のように定義しています。

フリーエージェントの定義:正規雇用者として組織に所属することなく、他者による時間的、空間的、対人関係的、また職務内容的な制限を受けずに、本人の自由裁量に基づいて働くこと

なんとアメリカ人の4分の1は、フリーエージェントとして、働いているということです。

アメリカは、日本の5年〜10年先をいくとよく言われますが、こうした流れは日本にも当然やってくるものでしょう。

 

2002年発売の本なりますが、20年経った今でも未だに色あせない影響力があり、20代、30代の若手社会人が働き方を考える上で必読本とも言える一冊をご紹介いたします。

2014年8月には、新装版が出ており、いよいよ日本にもフリーエージェント社会が目の前に来ています。

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フリーエージェント社会の到来 新装版—組織に雇われない新しい働き方|ダニエル・ピンク

本日紹介する本は、ダニエル・ピンク氏の『フリーエージェント社会の到来 新装版---組織に雇われない新しい働き方』です。
2014年に発売された新装版では、ちきりんさんが推薦しており、20代の方、フリーエージェントに憧れる方はもちろんですが、社会人の方は全員読むべき本だと思います。

これからの働き方が、ここにあります!

ちきりん

ちきりんさんは、「Chikirinの日記」というブログを運営する方で、月間PVは何と200万を越える日本を代表する有数のブロガーさんです。

 

ダニエル・ピンク氏の本の翻訳をしたことがある、神田 昌典氏はダニエル・ピンク氏を次のようにいっています。

ピンク氏の新刊は3年後のビジネス界の常識をつくっている

神田 昌典

それだけ世界中に影響力を与えるのが、ダニエル・ピンク氏なのです。

 

ダニエル・ピンク氏はアル・ゴア副大統領の主席スピーチライターを勤めていた方です。

世界でどこにも発表されていない数人しか知らない超極秘情報を、誰よりも先に知り、それを副大統領が世界中に発表する際スピーチの原稿を書いていた人です。

そういった経験があるからこそ、世界のこれからの進む道を予測することができるのでしょう。

スピーチライターだった頃のホワイトハウス内での激務っぷりも本書では細かく記載されているので、その部分だけでも非常に面白いです。

ホワイトハウスでの激務で、嘔吐するというところから話は始まります、、、笑

ホワイトハウスでゲロを吐くほど働くより、もっと自由に生きたい。妻や子供と過ごす時間がもっと欲しい。

という思いから、ダニエル・ピンク氏自身はフリーエージェントという働き方を選択したようです。

 

そのダニエル・ピンク氏が10年以上も前から言っている『フリーエージェント社会』とはどのようなものなのでしょうか。

終身雇用の崩壊、長時間労働、少子高齢化。アメリカはとっくに経験済み。

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終身雇用の崩壊、長時間労働への疑問、少子高齢化と聞くと、いかにも今の日本を象徴していると感じます。

しかし、この3つのことはとっくの昔にアメリカが経験したことなのです。

その結果、アメリカでは、フリーエージェントが国民の4分の1になっているのです。

同じ状況に直面している日本が、フリーエージェント社会になっていく理由の一つがここにあります。

日本は、アメリカと同じ歴史を通ってきており、これからもアメリカの後ろを通っていくのです。

 

もう少し詳しく見てみましょう。

1980年代までのアメリカは、IBMだったり、『ビッグスリー』と呼ばれる自動車メーカーのゼネラルモーターズ、フォードモーター、クライスラーは、終身雇用を約束していました。

これらの世界を代表する大企業の中で多くの労働者が老後の不安を感じることなく、働いていました。

 

しかし、その後アメリカで長引く不況や、日本メーカーの台頭などがあり、アメリカ企業は終身雇用制を維持していくことが不可能になり、終身雇用制を捨てました。

よく外資系企業は実力主義だ。みたいなことを言われますが、それが始まったのはこの頃からなんですね。

 

厳しい労働環境の中で賃金は下がる。

しかし、生活のためには働かなければならない。

安い賃金で長時間働くという、長時間労働の流れが始まる。

著者ダニエル・ピンク氏によれば、

アメリカ人は『過労死』という言葉が認知されている日本人よりも、さらに多く働いている

と述べています。

 

そして、長時間労働の結果、出生率は低下し、少子高齢化が問題になりました。

まるで日本の今を見ているようです。

 

つまり終身雇用制度の崩壊から生まれた偶然の産物がフリーエージェントという働き方だったのです。

多くのフリーエージェントという道を選んだ人々が、企業や組織からの拘束から解き放たれました。

そして、何より時間という拘束からも解き放たれました。

他のフリーエージェントと緩い繋がりの中で、共同で仕事をするという働き方を実現することが出来たのです

このフリーエージェントこそが、『新時代の働き方』であるとダニエル・ピンク氏は言っています。

 

仕事のポートフォリオを考える

多くの日本人は、まだ一つの会社からの収入源のみで生きています。

しかし、少し冷静に考えたら、これがいかに危険なことか誰でもわかると思います。

 

一つの会社に頼るということは、一つのお客さんしかいない事業をやっているようなものです。

もし、あなたがある会社の社長だとして、お客さんが1人しかいなかったら相当不安ですよね?

もしそのお客さんが、商品を買うのをやめたら、その会社の収入は0になります。

 

自分が会社だとしたら、私たちの商品は労働力です。

もし、今働いている会社(=お客さん)が、私たちの労働力(=商品)を買わなくなったら(=雇わなくなったら)あなたはどうなりますか?

当然収入は0になります。

会社(=お客さん)が、あなた(の労働力=商品)を雇う(=買う)かどうかは、会社の自由です。

今のご時勢、どんな大企業でもリストラなどで会社で働けなくなる可能性がありますし、会社自体が倒産することもありえます。

 

卵は一つの籠に盛るな

投資の世界では、『卵は一つの籠に盛るな』という言葉があり、世界中の投資家の常識になっています。

卵を一つの籠に入れておくと、それを落としたときに全て割れてしまう。

でも、複数の籠に入れて置けば、一つがダメになっても他の籠の卵には影響がないという考え方です。

つまり、投資をする際は、一つの銘柄にだけ投資するのではなく、いろいろな国のいろいろな銘柄に投資しましょうという考えです。

 

セブンポケット

また『セブンポケット』という言葉も最近流行っています。

収入源を一つだけにしていたら、非常に危険ですよ。7つの収入源を持ちましょう。という考え方です。

7つの収入源があれば、1つダメになっても残り6つあるので、その6つの収入がある間にまたもう1つ考えましょうというものです。

いきなり、7つの収入を持つのは、不可能だと思います。

 

しかし、1つの会社の収入だけあれば安心という時代はとっくに終わりました。

大企業の中でも、副業を認める企業が多く出てきています。

それは、「もう労働者全員の安心した生活を保障することはできないから、自分たちでなんとかしてください。」ということではないでしょうか?

 

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まとめ

著者のダニエル・ピンク氏がこの本を出すまで、アメリカにおいてフリーエージェントに関する本格的な調査は行われていなかったと言います。

しかし、ダニエル・ピンク氏が調査した結果、アメリカ人の多くがフリーエージェントとして、悠々自適な生活を送っていました。

それは、若い人だけでなく、幅広い年代でそういった人がいたとのことです。

話題にならなくとも、多くの人が知らないところでフリーエージェントが主流になっていたのです。

 

日本においても、バブルまでは良い大学を出て、大企業に入り、定年まで勤めるというのが美徳とされていました。

今でも大企業がカッコいいとか、安心・安定・安泰、勝ち組のように思っている人も多いと思います。

しかし、それはフリーエージェントを知らないだけかもしれません。

街のいたるところのカフェでは、ノマドとして活躍している人が多くいて、キンコーズといったオフィスを持たずに仕事する人のため場所がいたるところにあります。

 

確実にフリーエージェント社会が日本にも到来しつつあると思います。

新しい時代の働き方を見てみたいという人にぜひお手に取っていただきたい一冊です。

 

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