凄い結果を出している人を見たら、「あの人は才能がある」と誰もが考えたことがあると思いますし、自分が上手くいかないことに直面すると「自分には才能がない」と嘆いたことがあるはずです。
『才能』という単語は、なんでも簡単に片付けられてしまう手軽な言葉で、手垢の付いた使い古された言葉かもしれませんが、『才能』とは一体どんなものなのでしょうか。
才能の正体 (NewsPicks Book)|坪田信貴
誰もが自分とはかけ離れた能力を持つ人や、自分が上手くいかない理由を『才能』という一言で終わらせてしまいがちですが、その『才能』の正体を暴いた、坪田信貴さんの著書であるその名も『才能の正体 (NewsPicks Book)』をご紹介します。
坪田信貴さんは、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者でもあり、ビリギャルのさやかちゃんを慶應大学に進学させた塾の先生本人です。
「ビリギャルのさやかちゃんには、もともと才能があったんでしょ」と思ってしまう人も多いと思いますし、実際にビリギャルのヒット後はそのようなコメントを坪田信貴さん自身もたくさん受け取ったと言います。しかし、坪田信貴さんは、本書の冒頭で次のように述べています。
才能は、誰にでもある。
みんな、その才能をどう見つけたらいいのか、どう伸ばせばいいのかが、わからないだけなのです。自分の才能も、我が子や、教え子や、部下や、後輩の才能も。
そればかりか、多くの人たちは、その才能を潰してしまうことばかりしている……。このことにこそ、気づくべきなのです。
「自分には才能がない」と投げ出す前に、本書からあなたの才能を見つけ出し、あなたの才能を伸ばして欲しいと思います。
才能がある人は全員努力家
才能と聞くと、先天的に持ち合わせた能力と感じ、天才と同義語のように認識されているように思います。
しかし、生まれた瞬間から才能があるわけではなく、後天的に練習や訓練を続けた末に手に入れらるものが才能であると、たくさんの塾生たちを指導してきた坪田信貴さんは断言しています。
いわゆる「才能がある」と言われている人たちがいますよね。彼ら、彼女らには共通点があります。
それは、みんな努力をしていることです。
才能があると言われている人の共通点として、①〝その人に合った〟動機付け、②〝正しいやり方〟、③〝コツコツと努力〟の3つが揃って、結果を出すことで才能があると言われていると言います。
つまり、どんな分野でも上手くいくわけではなく、一人ひとり自分にあったものへの動機付けが必要であり、練習などのやり方が間違っていては才能を潰してしまう可能性もあるのです。そして、才能があると言われている人は、全員コツコツと努力した結果、大きな結果を出しているのです。
いきなり本質的なことを言いますが、自分に合っていない、ふさわしくない場所でいくら頑張っても、物事は身につきません。 「才能がある」と言われている人たちは、
〝その人に合った〟動機付けがまずあって、
そこから〝正しいやり方〟を選んで、
〝コツコツと努力〟を積み重ねている。
そしてきっちりと結果を出して、そのときに初めて「才能がある」という状態になる。正確に言えば、「才能がある」と言われるようになる。
マルコム・グラッドウェルさんの著書であり世界的なベストセラーになった『天才! 成功する人々の法則』では、天才の正体を世界に向けて発信したことで、世界中の人を驚かせましたが、天才も才能も決して先天的なものではなく、後天的なものであるということがわかります。
上手くいかない理由を「自分には才能がない」と言うのは簡単ですが、裏を返せば、「私は努力をしたくありません」と言っているのと同じことであることに気がついた方が良い気がします。
多くの人が今の結果だけを見て、才能があるとか天才だとか言いますが、種明かしをすれば、多大なる努力の結果でしかないのです。確かに、その結果に至るプロセスは周囲には見えにくいものですが、自分が他の人を見るときに結果だけを見て判断していないかを、一度落ち着いて考えて見ても良いような気がします。
才能がある人は「How型」
多くの人が、「なぜ出来なかったのか」という「Why型」で物事を考えて、結果だけを見ているため、能力が伸びていかないと言います。
才能があると言われる人は「How型」思考し、「どうやったら出来るか」「どのくらい出来るか」「どうしたら楽しくなるか」と言った観点で思考し、変化や過程、成長を楽しむからこそ、才能が伸びていくのです。
「Why型」で考える人は、結果主義者。
自分に限界を作り、能力が伸びない。
結果ではなく経過を楽しめる
「How型」は、
能力を伸ばして才能を手に入れる。
人生100年時代は、尖った部分を磨け
出る杭は打たれると幼い頃から学んでいる日本人は、周りと違うことをすることが苦手で、学校の先生の言う通りのことをやる子が偉いと洗脳され続けています。
尖った部分を削られ、凹んだ部分をなんとか埋めようとして、金太郎飴のような個性をなくした人材ばかりが量産されてきたのが、戦後の日本教育ですが、その教育は今もなお続いており、日本人の若者の未来をなくしています。
確かに戦後の高度経済成長では、工場などで言われた通りに働く労働者を大量に必要としたため、そのような人材が求められましたし、日本全体が豊かになった時代のため、そうした人生を歩めばみんな一律に豊かな生活を手に入れることがでたので、金太郎飴のような個性のない人生が正解だった時代もあります。
しかし、人生が100年になり、AIやロボットと共存していかなければいけない現代では、個性のない仕事はAIやロボットがやればよく、自分ならではの仕事を創造していく必要があります。
そのため、自分や自分の子供、周りの人たちの尖った部分をなくすようなことは止め、それぞれの人の尖った部分を更に磨いていくことが必要だと言います。
そもそも「仕事を選ぶ」のではなく、「仕事を創る」ことが、これからの〝人生百年時代〟〝AIやロボットの時代〟に求められることです。もし、あなたが自分の能力の〝尖り〟を見つけつつあるのであれば、わざわざ抑え込んで、それを丸くすることに意味なんてありません。どんどん尖らせることです。ちなみに、自分が尖っていないところは、〝そこ〟が尖っている別の人が補ってくれるものなので、まんべんなくバランスよく尖ろうとする必要はありません。それよりも、尖った人と尖った人が出会って、その尖った部分と尖った部分が刺激し合って、新しいアイデアが生まれることの方が、大きい成果が生まれます。
頭のいい人の行動を完コピしろ
仕事が出来るようになりたかったら、仕事を出来る人を完コピし、勉強が出来るようになりたかったら、勉強を出来る人を完コピすることが大事だと言います。
多くの人が真似をするのは、なんだか子供っぽいと思うと思いますが、何をするにもまずは出来る人を真似することが大鉄則です。
その人に、やり方を聞くのではなく、その人がやってる風景を動画で撮影して、自分との違いを分析することがオススメだと言います。
動画を撮ろうと考える人は少ないと思いますが、言葉でやり方を聞くのと、実際に見るのでは全く違うと言います。
出来る人を完コピすると言う話は、泉正人さんの『流される力』が本一冊かけて、完コピの重要性を解説してくれているので、あわせて読むことで、より理解が深まるように感じます。
マイナスの言葉を排除する
人の脳は、『主語』を認識していないと言われています。
誰かにマイナスの言葉をかければ、自分の気分も暗くなっていきますし、ポジティブな言葉を使うようにするだけで、気分が明るくなったり、周囲の人との人間関係が良くなったりします。
人は知らず知らずのうちに、自分が使う言葉、周りの人たちが使う言葉に心理的影響を受けているのです。
両親がキツい言葉ばかりを使うような過程で育つと、子供も非行に走ったり、よく褒める両親の子供は勉強でもビジネスでも大きな結果を出したりもします。
ソフトバンクの孫正義社長は、物心つく前から「お前は天才だ」と言われ続けて育てられたと言われています。
ポジティブな言葉が行き交う人たちと積極的に付き合っていくことも、才能を伸ばすには重要なファクターになるようです。
まとめ
学年ビリのさやかちゃんを慶應大学に入学させるまでに成長させて、坪田信貴さんの著書ということもあり、非常に読みやすく、納得のいく内容が満載です。
「自分には才能がない」という言い訳を、「誰にでも才能がある」という希望に変え、新たな自分に気が付かせてくれます。ぜひ手にとっていただきたい1冊です。きっとあなたの才能を見つけるきっかけになるはずです。