働き方改革によって、今まで長い間変化のなかった日本の働き方も、徐々に変わり始めてきました。そこに、新型コロナウイルスという誰もが予想しなかった事態が訪れ、強制的に働き方を変えざるを得ない状況がやってきました。
一つだけの収入源に頼っていることが危険であることを誰もが実感し、多くの人が新たな働き方をいかなければと感じていると思います。
働き方改革、アフターコロナ時代の働き方にも対応したヒントが詰まった本をご紹介します。これから就職する人、転職を考えている人、起業をしようか考えている人、副業を考えている人の今後のキャリアを助けてくれるような本を厳選しました。
- 働き方のヒントをくれるオススメの本!
- フリーエージェント社会の到来 新装版 組織に雇われない新しい働き方|ダニエル・ピンク
- ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉|リンダ・グラットン
- 未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる|ちきりん
- 仕事2.0 人生100年時代の変身力 (NewsPicks Book)|佐藤留美
- 働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる|橘玲
- ギグ・エコノミー 人生100年時代を幸せに暮らす最強の働き方|ダイアン・マルケイ
- 苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」|森岡毅
- モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには|本田直之、四角大輔
- まとめ
働き方のヒントをくれるオススメの本!
フリーエージェント社会の到来 新装版 組織に雇われない新しい働き方|ダニエル・ピンク
クリントン政権時代のアル・ゴア副大統領の首席スピーチライターを務めたダニエル・ピンクさんが、世界で初めてフリーエージェントの実態について体系的に纏めた本です。
世界中でフリーエージェント、フリーランスと呼ばれる人たちが増えていますが、本書が書かれる以前には、しっかりとした調査やデータは存在していなかったと言います。日本では、まだまだ正社員や公務員が安定しているというイメージが強く、フリーエージェントや個人事業主という立場は、弱いというイメージが残っています。
しかし、アメリカでは国民の4分の1はフリーエージェントで、その数は年々増加を辿っています。そして、何より驚くべきは、フリーエージェントの人たちの仕事の満足度が会社員の人たちと比べ物にならないほど高かったのです。
2014年には、日本で新装版として再度発売され、フリーエージェント増加の流れがいよいよ日本にもやってきたことを感じます。世界的な働き方の変化をいち早く世界に打ち出した1冊で、多くの働き方の本の源流になっています。働き方関連の本を読む中で、絶対に外すことのできない本だと思いますので、とてもおすすめです。
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉|リンダ・グラットン
2025年、私たちはどんなふうに働いているだろうか?
「漫然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ち受け、
「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。
どちらの人生になるかは、〈ワーク・シフト〉できるか否かにかかっている。
リンダ・グラットン|ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
2012年に発売された本書は、リンダ・グラットンさんが、2025年までの働き方の未来を描いた一冊です。たちまち全世界で大ベストセラーになり、その後に発売される働き方に関する本に多大な影響を与えてきました。
2025年まであと数年と迫ってきましたが、リンダ・グラットンさんが予想した働き方の変化が世界各地で実際に起こっています。単なる未来予測ではなく、発売から数年間を的確に的中させており、今からでも絶対に読んでおきたい必読書です。
今世界中で働き方が変化している5つの要因と、2025年までに自由で創造的な人生をいかに築いていくかを知ることができます。将来の働き方を考えていく上で、有識者がどのように未来を見据えているのかを知ることはとても重要なことだと思います。
未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる|ちきりん
前述のダニエル・ピンクさんの『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』にインスパイアされて、ちきりんさんが日本人向けに書いた日本版ワーク・シフトと言える一冊です。普段、ビジネス書などを読まない人にも読みやすい内容で、働き方を考えるときに、必ず読んでおきたい本です。
今まで、日本ではいい大学に入り、良い会社に勤めれば、幸せになれるというルートがありましたが、そうした生き方は今や実現が難しくなってきました。
一生懸命勉強していい大学に進み、いい会社に入る。今はまだそういった成功パターンが残っています。その一方、もうそれだけでは安心できないと感じる人たちも増えています。「それよりも、もっと大事なこと」が見え始めているように、思えるからでしょう。では、いったいそれは何なのでしょう?これからの社会を生き抜くために、私たちに必要なものは何だというのでしょう?
なぜ、私たちが働き方を変えていかなければならないのか。それは、今、世界で3つのパワーシフトが起きているからだと言います。将来の働き方を考えていく際に、今の世界の動向や経済トレンドを知っておくことは、とても大事だと感じます。
仕事2.0 人生100年時代の変身力 (NewsPicks Book)|佐藤留美
リンダ・グラットンさんとアンドリュー・スコットさんの『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略 』が、世界で大ベストセラーになり、私たちは100歳までの人生をいかにして幸せに生きていくかを考え直す時が来ています。人生100年時代を生き抜くに当たって重要な資産が無形資産と言われていますが、その中の変身資産をいかに身につけていくべきかを教えてくれます。
今、日本のビジネスパーソンの必読の情報サイトであるNewsPicksの副編集長の佐藤留美さんが、日本人のこれからの働き方のヒントをくれる一冊です。
政府が働き方改革という言葉を打ち出してから、働き方を変えていかなければならないと感じる人が増えていると思います。しかし、働き方改革は国民のためではなく、政府にとって都合よく作られているという現実があります。働き方改革の表向きの政策と、政府の本音についても詳しく知ることができます。
働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる|橘玲
最初に、本書における「働き方」を定義しておきましょう。論者によってさまざまな主張があるでしょうが、ここでは次のように使います。
働き方1.0 年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行
働き方2.0 成果主義に基づいたグローバルスタンダード
働き方3.0 プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型
働き方4.0 フリーエージェント(ギグエコノミー)
働き方5.0 機械がすべての仕事を行なうユートピア/ディストピア
安倍政権が進める「働き方改革」とは、働き方1.0を強引に2.0にヴァージョンアップしようとするものです。
(中略)
問題は、働き方2.0を実現したとしても、それではぜんぜん世界の潮流に追いつけないことです。最先端の働き方は、3.0から4.0に向けて大きく変わりつつあるからです。
橘玲さんは、働き方改革によって、働き方1.0が終焉し、働き方2.0の時代が来ると断言しています。
本書では、働き方1.0〜5.0の違いについて知ることができ、これから私たちはどの働き方を選択していくべきかの道標となる1冊です。
これから成果主義の働き方2.0の時代が日本にもやってきますが、グローバルスタンダードは働き方4.0へと移りつつあります。
ギグ・エコノミー 人生100年時代を幸せに暮らす最強の働き方|ダイアン・マルケイ
前述の橘玲さんの『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』の中で、これからの時代の働き方のスタンダードは働き方4.0のフリーエージェント(ギグエコノミー)だと書かれていますが、そのギグ・エコノミーについて、詳しく知りたいという方におすすめです。
日本でも、Uber Eatsなどで生計を立てる人たちが急増しており、ようやくギグ・エコノミーの流れがやってきたように感じます。
ギグ・エコノミーと聞くと、自分で独立して仕事をしなければいけないため、なかなかハードルが高いものと感じてしまいがちです。しかし、今はギグ・エコノミーを手助けするたくさんのプラットフォームが生まれてきており、ハードルは年々下がってきています。
会社員で働いていくことに疑問を感じる多くの人にぜひ読んでいただきたい本です。
苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」|森岡毅
森岡毅さんは、P&Gのメガブランド北米パンテーンのブランドマネージャーとして大活躍し、その後USJをV字回復させて立役者です。
本書は、元々愛する子どもたちがキャリアに悩んだ時に読める『虎の巻』として、家族用に書いていた内容を出版したという経緯があります。
P&G、USJの再建という超エリートサラリーマンが、愛する子どもたちに伝えたかったキャリアのヒントが詰まった1冊です。意外にも、超エリートサラリーマンである森岡毅さんが、子供たちに送ったアドバイスは、サラリーマンとして生きる道ではなく、資本家という存在を教えるものだったのです。
編集担当者が、この『虎の巻』は、キャリアに悩む全ての人に役立つ本質的な書籍と断言した生々しいアドバイスは、全ての人に役に立つはずです。
モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには|本田直之、四角大輔
スマートフォンは、私たちの生活を便利にしただけでなく、働き方の選択肢を広げてくれました。
著者の本田直之さんと四角大輔さんは、もともとサラリーマンとしてキャリアをスタートしましたが、今ではお二人とも自分の好きな国で、旅をしながら好きな仕事をおこなっています。そんな誰もが羨む働き方を実現することができたのも、スマートフォンがあるからです。
モバイルボヘミアンとは、仕事のために生きるのではなく、自分の好きなことをライフスタイルの中心に据えながら、旅するように働き、暮らす、自由な生き方のこと。
「自分らしくいられる時間をできるかぎり長く持つための方法」 であり、「仕事、表現、生活のクオリティを極限まで引き上げるための考え方」 とも言える。
本田直之 & 四角大輔|モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには
スマートフォンでゲームをすることもできますが、仕事のツールにして、自分の好きな働き方を実現する道具として使うこともできます。これから、どんどんとこうした働き方を手にする人たちが増えていくように感じさせてくれます。
まとめ
一昔前までは、大前研一さんなど名だたるビジネス書著者の人たちが、サラリーマンとしていかに成果を出していくかのヒントを書いたビジネス書が、書店でも目立っていたように感じます。しかし、大企業が平然と大規模なリストラを行い、国も国民を守ることを放棄してしまった今、サラリーマンとして活躍するための本は姿を消し、個人としていかに稼いでいくかが問う本が目立っています。
キャリアの正解がなくなってしまった今の時代に大切なことは、自分がどんな働き方、生き方を望み、どのように手にしていくかだと思います。
今回紹介した本の中に、皆さんの今後のキャリアのヒントが見つかりましたら、幸いです。